研究課題
基盤研究(C)
本研究では、申請者がこれまでに展開してきたCTL分化および転写因子研究の優位性を基礎として、細胞免疫学・分子生物学・ゲノミクス(ATAC-seq, ChIP-seq)等の手法を組み合わせて以下の点を明らかにする。① BATFはCTL分化のパイオニア転写因子として作用するか?② BATFはいつ、どの領域からクロマチン構造を制御するか?③ BATFがパイオニア転写因子として作用する分子機序(他因子との分子間相互作用)?
疲弊状態からの回復も含めてCD8陽性T細胞(CTL)応答を最適化するには分子・時期特異的な介入が重要であり、そのためにはCTL分化に関する分子機序の詳細な解明が必要である。CTL分化を制御することが明らかとなっている転写因子BATFの機能解析を行った。BATF変異体を併用して、BATFが含まれる転写開始複合体の組成解析を行う基礎検討を行った。BATFが調節するエピジェネティック修飾変化を明らかにする目的で、ChIP-PCR、ATAC-seqを用いて解析したところ、BATF欠損でヒストン修飾、クロマチン開放領域に差が生じることを明らかにした。
パンデミック感染症に対するワクチン開発や癌免疫療法では、最終的にはいかに強靱な抗原特異的T細胞(特にCTL)を誘導・維持できるかが鍵となる。しかし、「免疫記憶」が免疫システムにおける最も大きな特徴の一つであるにも関わらず、CTL分化の分子基盤の理解は脆弱である。これまでの細胞分化時に多数の遺伝子の発現を秩序よく調節するためには、転写因子やエピジェネティック変化はランダムではなく、連携的かつ統合的に作用する必要がある。我々のBATF機能解析成果は、CTLリプログラミングの鍵となる分子やゲノム領域を同定することを通じて、T細胞関連難治性疾患に対する新規の診断・予防・治療法の開発に貢献できる。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 2件)
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