研究課題/領域番号 |
19K07504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
石垣 宏仁 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90432301)
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研究分担者 |
伊藤 靖 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90324566)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | GRP94 / RAGE / IL-6 / 癌免疫 / 腫瘍免疫 / CD91 / exocytosis / 免疫電子顕微鏡 / カニクイザル癌細胞株 / GRP94強制発現細胞株 / GRP78 / HSP75 / LC-MS/MS / Neoself / 癌細胞 / ヒートショック蛋白 / ERシャペロン蛋白 / 癌免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
癌細胞は変異遺伝子から生じる多量の異常蛋白質を産生する。GRP78やGRP94などのERシャペロン蛋白は、変異遺伝子から生じる異常蛋白質の分解を防ぎ、癌細胞の生存と機能を維持するために必須である。近年、GRP78やGRP94が癌細胞の細胞膜にも存在することが明らかとなり、これらを標的とした新しい癌治療が考案されている。しかし、元来ER内に局在するこれらの蛋白が、どのように表面上に留まっているかは明らかとなっていない。 本研究では、GRP78とGRP94が癌細胞表面上にとどまる機構を明らかにし、さらにそれらの蛋白質に対する免疫応答を検討することにより、新たな癌治療や癌免疫療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
GRP94は正常細胞では小胞体に存在する蛋白である。癌細胞では、GRP94が細胞膜に発現することが知られているが、膜に繋ぎとめる蛋白(アンカー蛋白)は知られていない。本研究では、GRP94のアンカー蛋白を同定しようと試みた。その結果、癌細胞はGRP94を細胞外に放出しており、放出されたGRP94は細胞膜上のRAGEと結合することが判明した。またRAGEからのシグナルはIL-6を誘導することが知られているが、癌細胞はGRP94を添加した場合のみIL-6を産生した。癌細胞において、GRP94はRAGEと結合して細胞膜に存在し、IL-6の産生を誘導する可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌免疫において、RAGEのリガンドとしては、これまでHMGB1やS100等が知られていたが、今回の我々の検討で、GRP94も新規のRAGEのリガンドとして示された。またGRP94はRAGEに結合して、癌細胞からのIL-6の産生を誘導する可能性が示された。IL-6は樹状細胞の成熟障害や、癌環境下での免疫疲労に関与しており、腫瘍の分泌したGRP94がautocrineに働くことでIL-6を産生し、癌環境下での免疫疲労を誘導している可能性が示された。新規癌免疫療法のターゲットとしてGRP94やRAGE、IL-6が有望であると考えられた。
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