研究課題/領域番号 |
19K07514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三瀬 節子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00269052)
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研究分担者 |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90182815)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / T細胞 / サイトカイン / エフェクター細胞 / 代謝 / CAR-T細胞 / ミトコンドリア / エフェクター / 制御性T細胞 / IL6 / SOCS3 / IL-21 / サイトカインシグナル / SOCSファミリー分子 / 低分子化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では腫瘍を根絶するのに必要なサイトカインのシグナルを明らかにし、サイトカインシグナルを制御することで働く、新たな抗腫瘍薬の開発を目指す。サイトカインのシグナルを負に制御するSOCSファミリー分子の1つSOCS3をT細胞で欠損した(SOCS3cKO)マウスは、強い抗腫瘍効果を持ち癌細胞の成長を強く抑える。このマウスでの免疫反応を解析することによって、腫瘍根絶に有効なサイトカインとそれに対する反応を明らかにする。さらに約1500種からなる既存の低分子化合物阻害剤ライブラリーからSOCS3阻害を阻害することで、抗腫瘍薬として働く新な治療薬の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
SOCS3はSTAT3を活性化するサイトカインシグナルを負に制御する。SOCS3をT細胞で欠損したマウスは強い抗腫瘍効果を示す。SOCS3欠損CD8T細胞は強いエフェクター作用を持ち、CD4T細胞では制御性T細胞が減少する。これらはSOCS3によって制御されるIL6によるものである。IL6はCD8T細胞を酸化的リン酸化よりも解糖系優位の代謝へと変化させると共に、ミトコンドリアの膜電位や活性酸素を上昇させる。これらの変化がSOCS3欠損CD8T細胞に強いエフェクター作用を与えている。ヒトのキメラ抗原受容体T細胞でSOCS3を欠損させてもマウスと同様な効果が見られ、ヒト細胞への応用が期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オプジーボの登場によってこれまで治療手段のなかった癌に対して治療が可能になったが、すべての癌に効くわけではないことや、重篤な副作用の危険性や薬価の問題などがある。免疫反応を司るT細胞の性質はサイトカインによって決まるが、私はその作用を強めることで、腫瘍に強いT細胞を作り出そうと考えた。そのためにサイトカインを抑制するSOCS3をマウスのT細胞で欠損させた。SOCS3を欠損したT細胞は腫瘍に強く反応し腫瘍を拒絶する。この反応にはIL6という腫瘍にたくさん存在するサイトカインが働く。ヒトのT細胞でも人為的にSOCS3を欠損させると腫瘍に強いT細胞になることを発見し、新たな治療法に使える知見を得た。
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