研究課題/領域番号 |
19K07545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90631929)
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研究分担者 |
長岡 功 順天堂大学, 保健医療学部, 特任教授 (60164399)
三田 智也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90532557)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 動脈硬化症 / 抗菌ペプチド / 血管内皮細胞 / LL-37 / 凝集体 / オートファジー / 細胞死 / 動脈硬化 / 抗菌性ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
動脈硬化症は血管への脂質沈着と内腔の狭窄により血流が悪化する病態であり、心筋梗塞、狭心症や脳梗塞などの重要な疾患に深く関わっている。動脈硬化は脂質異常や高血圧といった代謝性危険因子により発症すると考えられてきたが、細菌の持続感染もまた、動脈硬化の危険因子と考えられている。本研究では、細菌感染が動脈硬化を増悪するメカニズムを明らかにするため、細菌感染にともなって好中球等から放出されるペプチドのLL-37が、血管細胞や炎症細胞のオートファジー不全とあいまって動脈硬化を増悪させるメカニズムを明らかにする。さらに、オートファジーを活性化させることによる病態改善法を確立することを目的とする。
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研究成果の概要 |
好中球由来の抗菌ペプチドであるLL-37は動脈硬化の病態形成に関わることが示唆されている。本研究ではそのメカニズムを明らかにするため、炎症場の形成に中心的な役割を担う血管内皮細胞の細胞死に着目してLL-37の影響を調べた。 LL-37は血管内皮細胞のオートファジーを活性化した。一方、オートファジーを抑制した血管内皮細胞に対しては細胞死を誘導した。このメカニズムとして、LL-37は血管内皮細胞に取り込まれた後、ユビキチン化とp62との結合を介してオートファジーにより分解されるが、オートファジーの低下した血管内皮細胞においては凝集体として蓄積して細胞死を誘導することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我が国では今日、約5人に1人が動脈硬化性の疾患で死亡しており、動脈硬化の発症・増悪のメカニズム解明は急務である。高脂血症などの代謝異常に加えて、持続的な細菌感染が危険因子であることは古くから疫学的に示されているが、そのメカニズムは不明である。本研究では、動脈硬化の病態形成への関与が示唆されている抗菌ペプチドのLL-37が、オートファジー不全に陥った血管内皮細胞に蓄積して細胞死を誘導することを明らかにした。オートファジー不全は動脈硬化症を含む多くの慢性炎症性疾患の基盤となる。本研究の成果は、細菌感染に対する宿主応答因子が直接、動脈硬化の病態形成に関わることを示した点において意義がある。
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