研究課題/領域番号 |
19K07549
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
|
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
下野 和実 崇城大学, 薬学部, 教授 (30415187)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 多剤排出輸送担体 / 多剤認識機構 / エンタルピーエントロピー補償則 / 脱水和エントロピー / 疎水性相互作用 / 等温滴定型熱量計 / 合理的医薬品設計 / トランスポーター / エントロピー / 多剤認識 / 水分子 |
研究開始時の研究の概要 |
熱力学変数は、化学反応を特徴づける変数である。本研究は、人類にとって脅威である病原菌の多剤耐性化の一因である多剤排出トランスポーターが認識する多様な薬物との結合力の強弱を生み出す分子機構を熱力学的に解釈し、新規阻害薬創成へと応用することを目的とする。研究期間内に、大腸菌由来の多剤排出トランスポーター(EmrE)で認識される化合物の熱力学特性を明らかにし、さらに基質結合における水分子および基質結合部位を構成するアミノ酸残基の関わりを明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、病原菌の多剤耐性化の一因である多剤排出輸送担体EmrEが、多種多様の薬物を認識できる機構を熱力学的に解釈した。EmrEのpH依存的な基質親和性の制御は、水分子が排除されることが主要因であることが明らかとなった。水分子の排除による疎水性相互作用は、基質の種類に依存しないため、排除水分子が多剤認識性に大きく寄与している。排除される水分子を計算科学的手法により解析した結果、結合親和性は、EmrEと強く水素結合した2個の水分子の排除が関与していることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
薬剤耐性菌の出現と拡散は、人類にとって脅威となっている。病原菌の多剤耐性化の一因である多剤排出輸送担体に強い結合力を持った阻害剤は、既存抗菌薬への耐性化を無効にする。そのため、多剤排出輸送担体阻害剤は、多剤耐性菌感染症に対する有効な治療薬となり得る。多剤排出輸送担体EmrEの多剤認識メカニズムについて熱力学的検討を行った本研究の成果は、合理的医薬品設計において、水分子の排除の重要性を再確認したものである。さらに、強く水素結合した水分子の排除が、基質親和性上昇に有効であることを示した。
|