研究課題/領域番号 |
19K07573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中野 和民 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60549591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | HTLV-1 / Rex / Tax / Hbz / 潜伏感染細胞 / ウイルス発がん / 感染細胞微小環境 / T細胞 / HBZ / ウイルスタンパク質の相互作用 / primary PBMC感染実験 / ATL / ウイルスタンパク質 / 細胞外微小環境 / 感染T細胞 / 微小環境 / 腫瘍化 |
研究開始時の研究の概要 |
HTLV-1は感染T細胞を不死化し、約50~60年後に極めて悪性度の高い末梢血T細胞腫瘍ATLを引き起こす。HTLV-1流行地域である我が国では、HTLV-1の病原性発現機構の解明が課題であるが、長く複雑な感染T細胞の腫瘍化プロセスは実験的再現が難しく、未だATL発症におけるHTLV-1の「役割」はほとんど明らかになっていない。これまでの研究から申請者は、HTLV-1のウイルス活動が、感染細胞の腫瘍化への引き金になると予想した。よって本研究では「HTLV-1が感染細胞内外の微小環境にどのような「傷」を残し、感染細胞の運命に影響するか?」という、HTLV-1ウイルスの本質に関わる「問い」に迫る。
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研究成果の概要 |
HTLV-1はヒトT細胞に感染し数十年を経てATLを発症するoncovirusである。しかしATL発症率はキャリアの5%程度で、多くの感染細胞はdisease-freeな潜伏感染細胞を数十年に渡って維持する。我々はこのような感染細胞の構築のメカニズム解明を目指した。特にウイルスタンパク質の中で最も未知な領域の多いRexの役割に注目した。その結果RexはウイルスmRNA輸送機能以外に、様々なタンパク質との相互作用を介して遺伝子発現制御、免疫応答、シグナル経路などに影響を与えていること、Rex、Tax、Hbzなどのウイルスタンパク質の相互作用によりHTLV-1感染細胞が形作られることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ATLは感染細胞の腫瘍化により発症する。しかしほとんどのキャリア体内でHTLV-1感染細胞はdisease-freeな潜伏感染状態を維持する。よってATLは本来のウイルスのプログラムを逸脱した状態と言える。本研究ではHTLV-1感染実験系やRex、Tax、Hbzの単独または共発現系を駆使し、現実的なHTLV-1感染の場での解析を目指した。その結果1ウイルスタンパク質群の働きによる感染細胞の構築メカニズムの一端が明らかにした。このようにHTLV-1の本来のdisease-freeな潜伏感染細胞構築メカニズムを解明することにより、感染細胞の腫瘍化(ATL発症)メカニズムの理解が深まると期待される。
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