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神経細胞に特異的なエンテロウイルス71新規受容体の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K07585
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49060:ウイルス学関連
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

西村 順裕  国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (00392316)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードウイルス / 受容体 / 手足口病 / エンテロウイルス71 / 中枢神経 / 神経細胞 / リソソーム / ヘパラン硫酸
研究開始時の研究の概要

ウイルスは、感染を開始するために、細胞表面の受容体に結合する。この受容体を同定・解明することは、ウイルス感染環の理解において非常に重要である。手足口病の病原ウイルスのひとつにエンテロウイルス71(EV71)がある。EV71感染による症状は一般に軽いが、重篤な中枢神経疾患(髄膜炎・脳炎・脳症・神経原性肺水腫など)を起こし死に至ることがある。本研究では、「神経細胞に特異的なEV71受容体が存在する」との仮説を立て、新規受容体の同定と機能解析を目指す。

研究実績の概要

本研究の目的は、神経細胞に特異的なエンテロウイルス71(EV71)受容体が存在すると仮定し、これを同定することである。一方で、EV71の細胞表面の受容体として報告されたSCARB2は中枢神経にも発現しており、本研究の仮定との矛盾が生じうる。そこで本年度は、SCARB2の細胞での発現部位について解析した。
まず、SCARB2の細胞表面での発現をフローサイトメトリーで検討した。EV71が効率よく増殖する培養細胞(RD細胞など)を用いたが、既報と異なり、SCARB2は細胞表面に検出されなかった。一方、細胞内のSCARB2はウェスタンで検出できた。次にSCARB2の細胞内局在をコンフォーカル顕微鏡で検討した。SCARB2はリソソームや後期エンドソームに局在しており、細胞膜への局在はみられなかった。これらの結果と一致し、抗SCARB2抗体はRD細胞へのEV71感染を阻害しなかった。SCARB2をノックアウトしたRD細胞においても、細胞へのEV71結合量は低下しなかった。しかし、EV71増殖は大きく低下した。したがって、SCARB2はEV71の感染成立に必須な細胞内分子ではあるが、EV71の細胞への結合には関与しないと考えられた。ヒト初代培養細胞においてもEV71 は効率よく増殖したが、増殖は抗SCARB2抗体によって阻害さなかった。ヒト初代培養細胞でのSCARB2発現は細胞内のみで、細胞表面には検出されなかった。
以上のように、SCARB2は細胞表面には存在せず、細胞内受容体としてEV71感染に関与することを明らかにした。中枢神経への感染においても、EV71はSCARB2以外の受容体に結合して細胞侵入を開始し、細胞内でSCARB2に出会うと推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

未知受容体の同定に向け計画していた実験が計画通りに進行しなかったため。

今後の研究の推進方策

初代神経細胞を用いてのエンテロウイルス71感染性の解析、新規受容体の機能解析を検討している。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Pennsylvania(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Enterovirus A71 does not meet the uncoating receptor SCARB2 at the cell surface2024

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Yorihiro、Sato Kei、Koyanagi Yoshio、Wakita Takaji、Muramatsu Masamichi、Shimizu Hiroyuki、Bergelson Jeffrey M.、Arita Minetaro
    • 雑誌名

      PLOS Pathogens

      巻: 20 号: 2 ページ: 1012022-1012022

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1012022

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Concurrent outbreaks of circulating vaccine-derived poliovirus types 1 and 2 affecting the Republic of the Philippines and Malaysia, 2019?20212022

    • 著者名/発表者名
      Snider CJ, Boualam L, Tallis G, Takashima Y, Abeyasinghe R, Lo YR, Grabovac V, Avagyan T, Aslam SK, Eltayeb AO, Aung KD, Wang X, Shrestha A, Ante-Orozco C, Silva MWT, Lapastora-Sucaldito N, Apostol LNG, Jikal MBH, Miraj W, Lodhi F, Kim HJ, Rusli N, Thorley BR, Kaye MB, Nishimura Y, Arita M, Sani JAM, Rundi C, Feldon K.
    • 雑誌名

      Vaccine

      巻: - ページ: A58-A69

    • DOI

      10.1016/j.vaccine.2022.02.022

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] エンテロウイルスA71と受容体SCARB2は、細胞表面で出会わない2023

    • 著者名/発表者名
      西村順裕、佐藤佳、小柳義夫、脇田隆字、村松正道、清水博之、Jeffrey M Bergelson、有田 峰太郎
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] エンテロウイルスA71の受容体SCARB2は細胞表面に無い

    • URL

      https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/virology/12539-vir-2024-04.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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