研究課題/領域番号 |
19K07593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
久保 嘉直 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (30273527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 海産下等動物 / 甲殻類 / HIV / 新型コロナウイルス / エボラウイルス / GILT / lamellarin sulfate / 節足動物 / mTOR / 海産生物 / フコイダン / レトロウイルス / クルマエビ / インターフェロン |
研究開始時の研究の概要 |
宿主はウイルス増殖を抑制する防御因子を持っている。しかし HIV-1 はヒトにおいて効率よく増殖する。これは HIV-1 がヒト防御因子から回避する能力を持っており、ヒト防御因子の単離は困難であることを示している。そこで、獲得免疫がなく発達した防御因子を持っていると考えられる海産下等動物から HIV-1 増殖を抑制する宿主因子を単離し、抑制メカニズムを解明する。養殖が盛んで入手の容易なクルマエビを用いる。クルマエビ抗 HIV-1 因子のヒト、サル、マウスの相同体にもHIV-1 増殖抑制活性があるかどうか観察し、その因子の進化と抗 HIV-1 活性との関連を考察する。
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研究実績の概要 |
我々は以前にヒトgamma-interferon-inducible lysosomal thiol reductase (GILT)が、様々なウイルスの糖蛋白質のS-S結合を切断することにより感染を阻害することを報告した。GILTのS-S結合を切断する酵素活性中心の配列はCXXCとなっている。しかし、エビやカニなどの甲殻類GILTの活性中心配列はCXXSである。そこでブラックタイガーエビGILTのS-S結合切断酵素活性と抗ウイルス活性を測定した。その結果、興味あることに、エビGILTは抗ウイルス活性を保持しているが、S-S結合を切断する酵素活性を持っていないことが分かった。この結果は、GILTの本来の機能が抗ウイルス活性であることを示している。
以前に我々は、海産下等動物ホヤに存在するlamellarin alpha-20 sulfateがHIV-1感染を抑制することを突き止めた。そこで、この化合物が新型コロナウイルスとエボラウイルスの感染にも影響するかどうか解析した。lamellarin alpha-20 sulfateに加え、その構造類似体であるheparin、dextran sulfate、chondroitin sulfate, fucoidanの影響も解析した。その結果、heparin、dextran sulfate、fucoidanはウイルス粒子と標的細胞の接着を抑制することにより感染を阻害することを突き止めた。またエボラウイルス等蛋白質のin silico構造解析を用い、lamellarin alpha-20 sulfateとchondroitin sulfateは、感染受容体NPC1結合部位に結合し、感染を阻害することが推測された(Viruses 14 (2022), 816)。
本研究を行う過程で、それまで獲得免疫を持たないと考えられていた甲殻類動物に抗体と同様な働きを行う蛋白質Dscamが存在することが他の研究グループから報告された。そこでクルマエビにHIV-1 p24蛋白質を接種すると、それに結合するDscam蛋白質が出現することを発見した。
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