研究課題
基盤研究(C)
免疫恒常性の維持には制御性T細胞 (Treg) が生体内で安定的に維持されることが必須であり、その破綻は自己免疫疾患などの病態につながる。TregにはCD4陽性 (CD4 Treg) とCD8陽性 (CD8 Treg) の細胞系譜が存在するが、CD8 Tregの生体内維持機構の詳細は不明である。本研究は、moesinを欠損するマウスでCD8 Tregの減少と自己免疫疾患の発症を認めることから、ERMタンパク質に着目してCD8 Tregの維持機構を解明することを目的とする。Treg恒常性の破綻機序の一端を理解し、Treg安定性の人工的制御による自己免疫疾患治療へと展開する基盤の確立を目指す。
免疫恒常性を維持する機序として、制御性T細胞 (Treg) による免疫抑制があり、一般的に知られるCD4陽性のTreg以外にCD8陽性の細胞系譜 (CD8 Treg) が存在することが知られている。本研究では、CD44、CD122を発現するマウスCD8 T細胞の中に、自己抗原ペプチドを提示したQa-1に結合する分画が存在し、この分画が免疫抑制活性を示すことを見出した。また、この分画は、一度も抗原刺激を受けていないにもかかわらずメモリー型の表現型を呈するバーチャルメモリーT細胞と類似する遺伝子発現を示すことを見出した。
自己免疫疾患や臓器移植などにおいて免疫寛容を誘導する、あるいは逆に、免疫監視を阻害することで抗腫瘍免疫を強化しようとするためにTregを標的とした応用研究が行われている。Tregを標的とする治療においては、生体内での数・機能の制御が重要である。本研究成果は、Tregの特定のサブセットの表現型と機能の一端を明らかにするものであり、Tregの生体内運命を人為的に制御することによる効率的で副作用の少ない免疫療法につながることが期待される。
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