研究課題/領域番号 |
19K07650
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
和久 剛 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (40613584)
|
研究分担者 |
小林 聡 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50292214)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 遺伝子発現 / 腫瘍 / タンパク質分解 / 脂質代謝 / NRF3 / コレステロール / マクロピノサイトーシス / NRF1 / CPEB3 / 翻訳 / プロテアソーム / がん増悪 / NRF3 (NFE2L3) / 20Sプロテアソーム / ユビキチン非依存的タンパク質分解 |
研究開始時の研究の概要 |
20Sと26Sプロテアソームを使い分ける生物学的な意義は未だ不明である。代表者は近年、がん増悪に関わる転写因子NRF3が、これら両方のプロテアソーム活性を制御する可能性を見出した。本課題では、このNRF3を介したユニークなプロテアソーム制御経路の解析を進めることで、他のがん研究とは異なる角度から、タンパク質恒常性の破綻によるがん増悪機構を解明する。プロテアソーム制御の異常は、がん増悪だけでなく神経変性疾患や細胞老化との関連も報告されている。そのため、本課題から得られるタンパク質恒常性の破綻機構に関する知見は、様々な疾患に対する新たな治療基盤の創出につながると期待できる。
|
研究成果の概要 |
転写因子NRF3は翻訳制御因子であるCPEB3を直接転写する。CPEB3はNRF3ホモログであるNRF1の3’UTRに結合しNRF1の翻訳を抑制する。それによりタンパク質分解複合体であるプロテアソームの発現や活性が低下し、がん患者の予後不良につながる可能性を見出した。 またNRF3はタンパク質分解以外にも、主要な脂質代謝の1経路であるコレステロール生合成をリプログラムし、細胞内の中性脂肪量を減少させることを見出した。さらにNRF3はマクロピノサイトーシスと呼ばれる基質非特異的なエンドサイトーシスを誘導することで、細胞内のコレステロール量を一定に保っていることも明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が解明したNRF3-CPEB3-NRF1経路を標的とすることで、がん細胞に特異的に作用するタンパク質分解のコンロトールを目的とした新たな抗がん剤開発につながると期待できる。また本研究ではNRF3がコレステロール生合成を調節することで中性脂肪量を減少させることも見出した。以上の知見は、NRF3が肥満とがん悪性化をつなぐキーファクターである可能性を強く示している。肥満はがん増悪の原因となることが知られているが不明な点も多いことから、本研究で得られた知見は肥満とがんの関連を理解する上で重要なものであると考えられる。
|