研究課題/領域番号 |
19K07660
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 裕子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (20583131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ピロリ菌 / 胃がん / キナーゼ / がんタンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
ピロリ菌が産生する細菌性がんタンパク質CagAは胃がん等の胃粘膜病変を引き起こす。胃上皮細胞内に侵入したCagAは極性制御キナーゼPAR1bと結合しその触媒活性を抑制する結果、胃粘膜破壊を促進する。くわえて、CagAは多量体を形成するPAR1bを介し、間接的に多量体化することでその病原活性を増進する。このようにCagAの病原活性に重要な役割がありながらも、PAR1b多量体化の制御機構および生理的機能についてはこれまで全く不明であった。本研究ではPAR1bの多量体化の制御機構および生理的機能を解明し、CagA誘発胃がんへの寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
胃がんの原因菌であるヘリコバクター・ピロリが産生する細菌性がんタンパク質であるCagAは宿主標的タンパク質であるPAR1bのキナーゼ活性を阻害することにより、胃粘膜上皮層の破壊や染色体不安定を引き起こす。くわえて、CagAはPAR1b多量体を介して間接的に多量体化することで、宿主がんタンパク質であるSHP2との結合を強化し、その活性を脱制御する。本研究ではPAR1bが核酸依存的に多量体化し、キナーゼ活性が賦活化するメカニズムを試験管内キナーゼ法と細胞系を用いて詳細に解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本において胃がんは部位別がん死亡者数第3位であり、その98%がピロリ菌感染によるものである。ピロリ菌CagA誘発胃がんにおいてPAR1b多量体とそのキナーゼ活性の抑制は中心的な役割を占める。本研究によりPAR1b多量体化とキナーゼ活性賦活化の分子メカニズムが詳細に解明されたことから、今後ピロリ菌を原因とする胃がんを含めた胃粘膜病変の発症機構が大いに進展する考えられる。また、PAR1bはアルツハイマー病の原因タンパク質であるタウのキナーゼでもあることから、胃粘膜病変のみならず、アルツハイマー病を含めたタウオパチーの解明にもインパクトを与えると考えられる。
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