研究課題/領域番号 |
19K07662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉田 利通 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (80166959)
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研究分担者 |
野呂 綾 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (00747173)
石飛 真人 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (40443535)
小塚 祐司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50378311)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 癌細胞 / 酸性環境 / 癌進展 / 癌転移 / 線維芽細胞 / 酸性微小環境 / がん進展 |
研究開始時の研究の概要 |
癌組織内では酸性環境が出現し、癌の転移を促進している可能性が報告されている。低pH環境における癌細胞と間質線維芽細胞の遺伝子発現のシグネチャーを明らかにし、それらの発現を免疫組織化学、定量的PCRなどを用いて、マウスモデルやヒト組織での発現解析を合わせることにより、酸性環境で癌がどのような機序で悪性化するのかを解明できる。癌進展を促進する微小環境に新たな切り口を確立できることになり、癌治療のあたらしい道を切り開けると考える。
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研究成果の概要 |
癌組織内では酸性環境が癌進展を促進している可能性が示されている。乳癌細胞を酸性環境で培養すると細胞間が解離し上皮間葉移行が観察された。インテグリンαvβ6が上皮間葉移行に関与し、FAK/Srcのリン酸化を誘導していた。その下流のコルタクチンはリン酸化され、接着斑に集積し、コルタクチン陽性浸潤突起が形成され、浸潤能が亢進していた。マウス乳癌細胞株を酸性条件で培養し、マウス尾静脈から静注した時、転移巣は有意に多かった。酸性条件下の培養細胞やヒト乳癌組織で酸性環境分子マーカーのGLUT1などの発現増強が確認できた。組織マイクロアレイを用いて、これらの発現と患者の予後データとの対比を行っている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、乳癌細胞が酸性条件下で浸潤能を亢進する分子メカニズムを明らかとし、マウスの肺転移モデルで転移浸潤能が亢進していることを確認し、ヒト乳癌組織で実際に酸性条件下が患者の生存率を低くしていることを明らかとしようとしている。これらにより乳癌組織の酸性環境による癌進展の促進というあたらしい切り口を開拓したものであり、従来されてきた癌治療の再考や、今後新たな治療法を開発する上で、新規の観点を提供できる。
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