研究課題/領域番号 |
19K07677
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
進藤 軌久 公益財団法人がん研究会, がん研究所 実験病理部, 研究員 (00512253)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | セパレース / 活性制御 / バイオセンサー / 染色体不安定性 / 染色体分配 / サイクリンB1 / 活性制御機構 / がん / サイクリンB1 / 染色体分配異常 / がん細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、染色体不安定性を積極的に増大させてがんを死滅させる治療法の開発が注目されている。セパレースの早すぎる活性化は染色体不安定性の要因となるが、バイオセンサーを用いた解析によると、多くのがん細胞株でセパレースが早期に活性化していた。そこで本研究では、このがん細胞株でみられたセパレース活性制御異常の分子基盤を解明する。まずセパレースの厳格な活性制御を保証する機構を解明し、その知見をがん細胞株における異常の理解へと展開する。がんにおけるセパレース活性制御異常の分子基盤が明らかになれば、がん特有の弱点としてセパレース活性制御異常を標的とすることが可能になり、新たな治療法開発の端緒となると期待される。
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研究成果の概要 |
セパレースのバイオセンサーで正常二倍体細胞株のセパレース活性を測定したところ、染色体分離時に急激で強い活性化が起きていた。一方、がん細胞株では染色体分離のはるか以前に活性の漏洩が起き、染色体分離時にも弱い活性しか検出されなかった。この傾向は分裂期の長いがん細胞株で顕著であり、低濃度の微小管重合阻害剤によって分裂期中期させると悪化する。セパレースの抑制機構には真核生物全体で保存されているSecurinによる抑制と、主に脊椎動物で保存されているCyclin B1-Cdk1による抑制があるが、我々の見出した長い分裂期中期がセパレース制御異常につながる原因は、後者による抑制の減衰であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん細胞を特異的に死滅させるにはがん特有の弱点を標的とすることが重要である。そのため、がん特有の染色体不安定性を増大させる方法が注目され、紡錘体チェックポイントなどを標的とする基礎研究は行われてきたが、いずれの研究もまだ萌芽段階にある。本研究で、がん特有のセパレース制御異常の原因がcyclin B1-cdk1による抑制の減衰であることが見いだせたことで、染色体不安定性を増大させる新たな治療法の開発の端緒とすることができる。セパレースとcyclin B1-cdk1の結合様式に関する理解も進んできており、治療標的として今後飛躍的に開発が進む可能性がある。
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