研究課題/領域番号 |
19K07683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2022) 東京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
森川 真大 帝京大学, 先端総合研究機構, 准教授 (80775833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アクチビン / ミオスタチン / フォリスタチン / FSTL3 / 筋ジストロフィー / Fc融合蛋白 / TGF-β / 骨格筋肥大 / 抗ミオスタチン療法 / 乳がん / 悪液質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、TGF-βファミリー分子の一つであるアクチビンとそれに極めて類似する一部ファミリー分子を選択的に阻害する新規Fc融合蛋白に関して、担癌マウスモデルを用いて評価する。がん研究の分野ではTGF-βの研究が先行していたが、アクチビンや類似のファミリー分子は解析が進んでいなかった。他方、進行がん患者が発症するがん悪液質で、アクチビンに類似するGDF8(ミオスタチン)が注目されていたが、GDF8と高い相同性を示すGDF11とアクチビンも、骨格筋量減少といった悪液質の病態に関与する。本研究の結果は、発がん過程におけるこれらのシグナルの役割解明と、がん悪液質の新たな治療法開発につながる。
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研究成果の概要 |
本研究では、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)ファミリーのアクチビンや類似リガンドの阻害薬を開発し、マウスモデルで治療効果を評価した。具体的には、アクチビンの生理的アンタゴニストFSTL3に注目し、アクチビン阻害による腫瘍細胞への治療効果の他、ミオスタチン(GDF8とも呼ばれる)阻害による骨格筋肥大効果を評価した。本研究期間中に、タンパク質工学の手法を活用して血中安定性を改善した1価FSTL3-Fcを開発し、若齢正常マウスや筋ジストロフィーモデルマウスで骨格筋肥大と筋力増大効果を確認した。1価FSTL3-Fcの骨格筋肥大効果に関して、成果をまとめ国際誌に発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミオスタチン経路を阻害することで骨格筋の増加・肥大を目指す「ミオスタチン阻害薬」の開発が積極的に行われてきたが、効果不十分であったり標的外の副作用を生じたため、臨床応用された製剤はない。 本研究の成果である1価FSTL3-Fcは、マウスモデルで先行製剤と同等の骨格筋肥大効果を認めた。また、骨格筋に関係するミオスタチン、アクチビン、GDF11に選択性が高いことから、先行製剤の問題点を解消した新たなミオスタチン阻害薬となりうる。副作用の可能性の低いミオスタチン阻害薬は、進行したがんで認められる悪液質の他、高齢者におけるサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)などの骨格筋萎縮症の治療法として有望である。
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