研究課題
基盤研究(C)
転移巣形成メカニズムの解明は、原発巣から離れた数個のがん細胞の動態を追う必要があるために、一細胞レベルで、がんの動態を観察する必要がある。申請者は、生きたマウスにおいて、一細胞レベルでがん細胞の動態を観察可能な2光子顕微鏡を用いて、大腸粘膜層上皮毛細血管でのがん細胞の動態可視化を行った。その結果、転移巣形成は従来想定されていた単純な様式よりも様々な要因が確認された。本研究では、「がん細胞の転移巣形成には環境に応じた多様性があるのではないか」という問いに答えるべく、環境の異なる肝臓および骨髄においても、同様の効果で転移巣を形成しているのか否か明らかにし転移巣形成メカニズムの多様性を証明する。
転移巣形成メカニズムの解明は、原発巣から離れた数個のがん細胞の動態を追う必要があるために、一細胞レベルで、がんの動態を観察する必要がある。本研究を通して、悪性リンパ腫の肝臓への転移巣形成メカニズムを明らかにし、肝臓の血管に存在する脂質分子(スフィンゴミエリン)がその転移巣形成に影響を与えることが明らかになった(FASEB J. 2020 Mar;34(3):3838-3854.)。また、このスフィンゴミエリンは、生体内の大腸の陰窩の表面に存在することが明らかとなった(Biochem Biophys Res Commun. 2022 Jun 30;611:14-18.)。
本研究では、肝臓での悪性リンパ腫の転移巣形成メカニズムの一端を明らかにした。以前に明らかにした大腸での転移巣形成メカニズムと合わせて、転移巣形成には多様な様式が存在する。単純に一つのがん細胞から転移巣を形成するわけでなく、その他のがん細胞と集合し、転移巣を大きくすることによって、周りの免疫細胞や抗がん剤からのダメージを少なくしていることが示唆される。今後、創薬の戦略として、転移巣を個々に分解することによって、抗がん剤などへの暴露効率を上げて転移巣を撲滅するなどの戦略が上げられる。
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