研究課題/領域番号 |
19K07703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
碇 直樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30649471)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Mieap / 液-液相分離 / カルジオリピン / 液滴 / ミトコンドリア / 鉄 / イメージング / p53 / 細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
Mitochondria-eating protein(Mieap)はp53の標的分子であり、多くの癌で高頻度に不活性化している。Mieapは酸化ストレスの蓄積した不良なミトコンドリアを修復または除去することで、癌抑制効果を示す。ミトコンドリア除去の際には、Mieap-induced vacuole(MIV)と呼ばれる3種のオルガネラ(エンドソーム、ミトコンドリア、リソソーム)の融合した液胞が形成され、鉄依存性の細胞死が起こった。そこで本申請課題では、Mieapの鉄利用機構の解析、液胞MIVのプロテオミクス解析、変異Mieapとの比較を行い、Mieap誘導性の細胞死のメカニズム解明を試みる。
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研究成果の概要 |
Mieap は p53 誘導性蛋白であり、ミトコンドリアの恒常性を維持することでがん抑制に働くことが知られる。これまでに、MieapはDNA損傷に伴いミトコンドリアを分解する液胞様構造物Mieap-induced vacuole(MIV)を形成することが報告され、その際に鉄増加と鉄依存性の細胞死が観察されたが、これらの現象がどのような機序で起こるのかは不明であった。今回我々は、Mieapが天然変性領域(IDR)をもつ蛋白であり、液-液相分離を誘導すること、MIVと呼ばれる構造物は膜に裏打ちされた液胞ではなく、液-液相分離により形成されカルジオリピン代謝に関わる液滴であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、Mieap強制発現下においてMieapが誘導する液-液相分離の詳細は明らかになったが、内在性Mieapによる液滴形成は再現されず、その可能性の示唆にとどまった。そのため、Mieapが持つがん抑制機能を賦活化させるために、Mieapが誘導する液-液相分離を制御するといった、将来のp53経路を標的とした治療応用のためのシーズ導出には至らなかった。しかし、強制発現下におけるMieapの液滴の詳細観察から得られた知見は、細胞内で代謝の連続反応がどのように円滑に進むかの一具体例を示した可能性がある。
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