研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、膵液、胆汁、十二指腸液などの液状検体から膵腫瘍由来の遺伝子異常を検出し、早期発見に繋げることである。これら液状検体を用いた解析ではより微量の遺伝子変異を検出する必要がある。そのため、より高感度の分子バーコード技術による次世代シークエンサー(Next-generation sequencing; NGS)を用いた遺伝子解析を行い、早期診断につながるバイオマーカーの探索を目指す。最終的に液状検体の中でも、内視鏡で低侵襲に採取可能な十二指腸液での膵癌早期診断法の開発を目指し研究を行っていく。
膵癌の解析では、血中K-RAS変異は7/68(10.3%)において検出された。血中K-RAS変異陰性の膵癌8症例でcirculating tumor cells (CTC) の解析も行い、StageⅡで3例(75%)、StageⅣでは2例(50%)でCTCが検出された。十二指腸液の解析では、消化管由来と思われる遺伝子異常も検出され特異的な遺伝子異常の同定が難しかった。胆膵癌パネルを用いた胆汁NGS解析では、悪性胆道狭窄症早期症例(StageⅠⅡ症例)で8/15(53%)においてOncogenic mutationが検出され、血液や胆汁遺伝子解析を用いた診断が早期診断に有用な可能性が示唆された。
本研究では膵癌患者の血液、消化液等を利用しNGSを用いた超高感度システムによる遺伝子解析から早期診断のバイオマーカーを探索する目的である。予定していた十二指腸液のNGS解析は今後の集積が必要だが、血液検体を用いたCTC解析や胆汁を用いたNGS解析により、胆膵癌の早期診断につながりうる研究結果が得られた。難治癌であり早期診断が困難な胆膵癌の予後向上につながる可能性のある意義深い結果が得られたと考える。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
Pancreatology
巻: - 号: 6 ページ: 3903-3903
10.1016/j.pan.2021.04.001
Journal of hepato-biliary-pancreatic sciences
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10.1002/jhbp.994