研究課題
基盤研究(C)
本研究では、申請者がEGFR変異細胞の翻訳プロファイリングで明らかにした3つのエクソソームタンパクと2つの新規翻訳産物に着目し、それらの生理機能や肺がん進展との関わりを明らかにしていくことで、EGFR肺がんの新たな診断法ならびに治療法の開発を目指す。
上皮成長因子受容体(EGFR)変異は、東アジアにおける肺がん患者で最も多く見られる変異である。我々は、細胞内のタンパク質産生の変化を網羅的に測定する技術リボソームプロファイリングを用いて、EGFR変異細胞で特異的に発現が上昇するタンパク質群を特定した。重要なことに、発現上昇したタンパク質の一つである分泌型糖タンパク質Xが、EGFR変異陽性肺がん細胞の増殖に関わる因子であることを見出した。今後、タンパクXの特性や機能の詳細を明らかにしていくことで、EGFR変異陽性肺がんを検出するためのバイオマーカーや治療薬開発につながることが期待される。
EGFR変異陽性肺がんは、日本人における肺腺がん全体の約半数を占める。現在、進行性肺がんを対象に、複数のEGRF阻害薬が肺がん治療薬として承認されているものの、それら薬剤への耐性化が問題となっている。本研究で見出したタンパクXは、EGFR変異陽性のがん細胞から豊富に分泌される特徴を有し、かつ、タンパクXの阻害はEGFR阻害薬耐性がん細胞の増殖を抑制することができた。そのため、タンパクXは、EGFR肺がんをより早い段階で発見するためのバイオマーカーや既存薬への耐性を克服するための新たな治療標的となる可能性を秘めている。本研究のさらなる発展により、肺がん患者を救う手立てとなることを期待したい。
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