研究課題/領域番号 |
19K07748
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (30626825)
|
研究分担者 |
渡邉 純 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10201188)
下田 浩 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20274748)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | エクソソーム / miRNA / 卵巣明細胞癌 / 腫瘍マーカー / exosome / micro RNA / 卵巣癌 / 腹水 / マイクロRNA |
研究開始時の研究の概要 |
近年、腫瘍の増殖や浸潤にはエクソソームおよび内在するmiRNAの関与が示唆されているがこれらを標的とした医薬品や治療法は未だ発展途上の段階である。本研究は卵巣癌患者腹水中のmiR574-3P発現解析を行い、卵巣癌のバイオマーカーや予後・予知因子となる可能性を明らかにする。またmiR574-3Pを抑制したエクソソームを作製し、腫瘍増殖・浸潤抑制効果を明らかにする。以上の結果から新しい治療プロトコールの提案を目指す。
|
研究実績の概要 |
2022年度の成果として、腹水エクソソームに内在する候補因子miR-574-3Pを引き続き続き行ったが、miR-574-3Pの発現量が微量なため再現性に乏しく、有意な結果が得られなかった。さらに高感度DropletDigital PCR (ddPCR)を用いた条件検討でもmiR-574-3Pは十分に検出されず、条件決定に至らなかった。さらに、臨床材料は個人差や採取した時の状態などサンプルの条件がバラバラであることから微量なmiR-574-3Pの検出は困難であることを確認した。以上の結果から、新たな候補因子を解析する方向に方針を変更した。具体的には、培養細上清から検出したエクソソーム内在miRNAのマイクロアレイ解析結果を再度詳細に見直し、卵巣明細胞癌 Clear cell carcinoma of the ovary (CCCO)細胞株2種で高発現を示し、他の組織型では発現を示さなかったmiRNAを卵巣明細胞癌のマーカーとして絞りこんだ。特に卵巣明細胞癌で特異的に発現の増加を示したmiRNAは近年日本で増加している卵巣明細胞癌悪性モニタリングマーカーとしての有用性が示唆されるなど臨床への寄与が大きいことが考えられ、以上の成果を論文として投稿し2022年6月国際誌に掲載された。Kayo Horie, et al., Molecules, 27(12):3953,2022。加えて、臨床材料として腹水だけでなく血漿も倫理委員会の承認を得て解析が可能となった。今回新たに検出した卵巣明細胞癌で高発現を示すmiRNAは卵巣明細胞癌の腫瘍マーカや疾患の予後や悪性度をモニタリングするマーカーとしての可能性が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の「卵巣癌患者腹水を用いたmiR574-3Pバイオマーカー及び予後・予知因子の解析」および「卵巣癌細胞株と腹膜を構成する中皮細胞株を対象としてmiR574-3P抑制エクソソームの影響を明らかにする」は遅れている。その理由として、miR-574-3Pの発現量は微量で再現性に乏しく、有意な結果が得られなかった。さらに高感度DropletDigital PCR (ddPCR)を用いた条件検討でもmiR-574-3Pは十分に検出されず、条件決定に至らなかった。加えて臨床材料は個人差や採取した時の状態などサンプルの条件がバラバラであることから微量なmiR-574-3Pの検出は困難であった。そのため卵巣明細胞癌で高発現を示すmiRNAを新たな候補因子として解析する方向に方針を変更した。さらに、コロナ感染拡大防止のため2021年~2022年は病棟への入室が制限されサンプル採取が不可となり、検討に用いる十分なサンプルの確保が困難であったため。
|
今後の研究の推進方策 |
腹水や血液サンプルからのmiRNA解析を行うにあたり、miRNA回収キットの検討をやり直すなど高効率で回収する方法を検出する。さらに卵巣明細胞癌のマーカーとして絞りこんだ候補miRNAについて、患者腹水や血漿サンプルを用いてRealtime PCRやDropletDigital PCR(ddPCR)を用いたmiRNA発現の定量化を行う。また、臨床病期や組織型、抗がん剤や化学療法の有無などの臨床情報を加味した検討を行う。以上の結果から候補miRNAが卵巣癌のバイオマーカーおよび予後・予知因子となる可能性を検討する。
|