研究課題/領域番号 |
19K07758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター (2023) 慶應義塾大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
塚本 信夫 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (20407117)
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研究分担者 |
河上 裕 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (50161287)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / がん免疫療法 / berberine / 代謝 / 併用免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
漢方薬成分の一つであるberberine (BBR)は、担がんマウスにおいてCD8+ T細胞依存的に抗腫瘍活性を示す。BBR投与によりT細胞の細胞死が抑制されるなど抗腫瘍活性増強の機構が次第にわかってきたが、BBR投与によりT細胞の異なる表現型に関連する遺伝子が同時に増加するなど一見常識と矛盾する結果から、CD8+ T細胞の単細胞レベルでの詳細な作用機序の解明を行う。またBBRによるCD8+ T細胞での遺伝子発現変化や、他の免疫細胞への影響など、得られた新たな知見をもとに、BBRを用いたより有効な免疫療法の開発を試みる。本研究から、腫瘍免疫に関わる本質的な発見と新たな治療法の開発が期待される。
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研究成果の概要 |
抗腫瘍免疫増強効果をもつ化合物berberine (BBR)を同定し、腫瘍増殖抑制機構を解析した。BBR投与により、所属リンパ節と脾臓のがん抗原特異的CD8+ T細胞の中に特定の表現型の集団が増加すること、腫瘍微小環境ではがん抗原特異的CD8+ T細胞の細胞傷害活性が増強されることを示し、これらの変化に関わる酵素や細胞状態を明らかにし、所属リンパ節や脾臓における作用機構と腫瘍におけるそれの違いを明らかにした。またCD8+ T同一細胞で、上記変化に関わり互いに抑制しあう2つのシグナルが同時に活性化し得ることを示した。さらに腫瘍増殖を相乗的に抑制できる併用がん免疫療法を開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体投与、がん抗原特異的T細胞を投与するがん免疫療法の臨床試験においてがん患者の長期生存につながる明確な治療効果が認められているが、それらの奏効率は未だ低く、より効果の高いがん免疫療法の開発が望まれている。本研究の結果は、抗腫瘍免疫増強効果をもつ化合物BBRの作用機序を明らかにした結果、所属リンパ節や脾臓において、また腫瘍において抗腫瘍免疫応答の増強に重要な分子と細胞状態が示された。さらに、腫瘍増殖を相乗的に抑制できる併用がん免疫療法を示すことができ、がん免疫療法、さらには標準治療の改善にもつながると期待される。
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