研究課題/領域番号 |
19K07759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
上原 郁野 日本医科大学, 先端医学研究所, 助教 (50434139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | cGAS-STING経路 / IFN-α/β / sphere / がん幹細胞 / cGAS-STING / IFN / Sox2 / oGlcMAc / IFN beta / IFN alpha / cancer stem cell / IFN-alpha / beta / metastasis |
研究開始時の研究の概要 |
近年ウイルス感染時以外でも、細胞の老化やDNA損傷により核膜を通過したDNAが細胞質に蓄積すると、細胞質のDNAセンサーであるcGAS-STING経路が活性化し、IFN-α/βや炎症性サイトカインが産生される現象が報告されている。 がん細胞は染色体不安定性から細胞質DNA含有量が高く、恒常的に影響を受けると考えられるが、詳細は不明な点が多い。 本研究は、cGAS-STING経路を介して産生される炎症性サイトカインやIFN-α/βによる発がん・がん幹細胞の増殖・転移への関与機構を明らかにし、抗がん剤や放射線治療時のcGAS-STING経路の活性化によって起こるべき障害を予測することが目的である。
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研究成果の概要 |
本研究は、抗がん剤や放射線治療により活性化されるcGAS-STING経路が発がんやがん幹細胞の維持に関与するのか、その機構を明らかにすることを目的とした。その結果、cGAS-STING経路の活性化で産生されるIFN-α/βにより、がん細胞の増殖は抑制されるが、がん幹細胞の維持に関与するoGlcNAc修飾が促進され、さらにPD-L1の発現が亢進されることを明らかにした。さらに、cGAS-STING経路の活性化で同時に産生される、SASPに関与する炎症性サイトカインも、がん幹細胞の維持に関与しており、この経路を阻害するSTING阻害剤H-151ががん幹細胞抑制の標的薬になる可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がんの再発・転移を抑制することは、がんの完治をもたらすが、実際に放射線治療や抗がん剤治療を行なっても、今のところ再発・転移を抑制することはできない。本研究では、放射線刺激や抗がん剤によるDNA損傷によって活性化される、cGAS-STING経路を介して産生されるIFN-α/βや炎症性サイトカインが、がん幹細胞の維持やがん転移に関与していることがわかり、さらにSTING阻害剤でcGAS-STING経路を抑制することにより、がん幹細胞の生存を下げる結果を見出した。今後、抗がん剤や放射線治療とSTING阻害剤の併用により、がんの転移再発を抑制できる可能性がある点で、非常に意義があると思われる。
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