研究課題/領域番号 |
19K07848
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊哉 北里大学, 医学部, 教授 (90359703)
|
研究分担者 |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
板倉 誠 北里大学, 医学部, 准教授 (30398581)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / 疾患モデル / 翻訳後修飾 / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経特異的な変性を特徴とする神経難病である。ALSの最大の病理学的特徴は、TDP-43の凝集体で、残存運動神経の細胞質に認められる。TDP-43は核-細胞質間をシャトルする蛋白だが、本来の局在は核である。この局在変化は、TDP-43の核移行制御機構の解明がALS病態の真の理解に必要なことを意味する。申請者は、TDP-43遺伝子改変マウスの作成過程において、この核移行を制御する新たな知見を得た。そこで、このマウスを起点として質量分析技術を融合させることにより、TDP-43の核移行制御機構の解明、さらにALS病態を反映した真のモデル開発を目指す計画を立案した。
|
研究成果の概要 |
TDP-43 C末に存在する天然変性領域は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)変異が集中する領域として重要である。我々は、内在性TDP-43 C末領域の部分欠損マウス12系統を樹立し、C末を構成する4領域(GaroS1、HP、Q/N、GaroS2)の機能的な相違を検討した。その結果、TDP-43の基本的機能(蛋白の安定性・マウスの生存性)には、GaroS1からQ/Nまでが必須で、Q/Nの有無が蛋白としての安定性を劇的に改善させた。一方、C末の前半部分(GaroS1-HP)欠損蛋白が細胞質のみに局在することから、この欠損領域が核移行を制御すると想定していたが、むしろ核内繋留に必要な領域と推察された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ALSは運動神経特異的な変性を特徴とする神経難病である。ALS病態に中心的な役割を持つ核蛋白がTDP-43であり、ALSの残存運動神経内では過剰なリン酸化を受けて凝集する。TDP-43は生体に必須の蛋白であるが、C末の天然変性領域に起因する凝集性のため、ALS発症にも関与するという二面性をもつ。つまり病的な凝集を防ぎながら、TDP-43の量および機能を適切にコントロールすることが、治療法開発に重要である。本研究は、TDP-43 C末を構成する4領域の機能的な相違をマウス個体で解明した初の試みであり、TDP-43の凝集性や機能を制御するための基礎的知見として、学術的および社会的にも意義がある。
|