研究課題
基盤研究(C)
イノシトールリン酸は、生体内に広く存在し、様々な生命現象を引き起こす。しかし、さらに高次のリン酸基を有するイノシトール6リン酸(IP6)や7リン酸(IP7)に関しては十分に解明されていない。このIP6、IP7、IP6をIP7にリン酸化する酵素であるイノシトール6リン酸キナーゼ(IP6K)と神経変性疾患との関連を研究してきた。特にIP6Kは中枢神経系に多く存在し、神経細胞死を促進することを明らかとした。しかし、生体内のIP6、IP7を定量的に測定することは不可能であったが、我々はその測定法を確立した。そこで、イノシトールポリリン酸の新たな神経変疾患病態メカニズムの解明につき検討する。
イノシトールポリリン酸、特に6リン酸(IP6)、7リン酸(IP7)およびIP6をリン酸化してIP7にする酵素(イノシトール6リン酸キナーゼ、IP6K)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)との関連につき検討した。結果として、ALS患者では、IP7の上昇を認め、IP6Kが活性化されていることが明らかとなった。また、IP6、IP7は中枢神経系以外に消化管系統の臓器にも多く含有されていることを明らかとした。
IP6、IP7およびIP6Kが中枢神経以外に消化管に多く分布していることが明らかとなったが、その機能、役割に関しては不明のままである。今後は脳-腸連関を含めた神経疾患での役割を解明していく必要がある。また、ALSでは、IP7ならびにIP7/IP6が有意にコントロールと比較して高値を示したことにより、IP6をIP7にリン酸化するIP6キナーゼ(IP6K)の活性化が起こっており、このことよりIP6、IP7、IP6Kは、ALS病態に深く関与しており、ALS診断バイオマーカーとなりうる可能性が示唆される。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (3件)
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