研究課題/領域番号 |
19K07858
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
佐野 和憲 福岡大学, 薬学部, 准教授 (50534343)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | レビー小体型認知症 / α-シヌクレイン / プリオン様伝播 / S129リン酸化 / Y136リン酸化 / Casein kinaseⅡ / リン酸化 / プリオン / 神経変性疾患 / 伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
レビー小体型認知症(DLB)の脳内における異常型αSynの広がり方は、プリオン病の感染性蛋白質であるプリオンの伝播性に類似しており、異常型αSynのプリオン様伝播機構を解明することはDLB克服にとって重要な課題である。 本研究では、様々な条件下で人工的に作製した異常型αSynの伝播性について、プリオン様伝播性試験管反応系(RT-QuIC)、実験マウス、培養細胞を用いて評価することで、伝播性を有する異常型αSynに関与する因子を解明する。またその異常型αSynの分子サイズ、形態、立体構造を解析することで異常型αSynの本体を解明する。さらに因子に基づくDLB治療薬の探索と、異常型αSynの構造情報に基づく創薬基盤の構築を行う。
|
研究成果の概要 |
レビー小体型認知症脳ではα-シヌクレイン(αSyn)の立体構造変換で伝播性を有する異常αSynが生じる。異常αSynの新規リン酸化部位としてY136を同定した。疾患モデルでは、伝播性を有する異常αSynはオリゴマー構造を呈していること、Casein kinaseⅡ(CK2)によるS129リン酸化は異常αSyn形成を促し、Y136リン酸化はS129リン酸化、異常αSyn形成を抑制することを明らかにした。CK2阻害剤はS129リン酸化減弱、Y136リン酸化増強により異常αSyn形成を抑制した。以上より異常αSynへの構造変換に関わる因子、新規創薬標的としてY136リン酸化、CK2を見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2002年にレビー小体型認知症(LBD)脳における異常αSynのS129リン酸化が同定されたものの、そのリン酸化機序や役割は不明確なままである。このことはS129リン酸化に影響する因子の存在を示唆しており、本研究ではその因子としてY136リン酸化を世界で初めて同定した。 S129リン酸化が見られる疾患にはパーキンソン病(PD)もあり、LBDやPDに対する現在の治療法は対症療法のみである。根治療法が確立されない要因として、異常αSyn本体が未解明なことが挙げられ、本研究成果で見出した異常αSynのY136リン酸化やオリゴマー構造は、LBD、PDの病態解明、根治療法開発への基盤になりうると考える。
|