研究課題
基盤研究(C)
中枢神経系(CNS)へ浸潤した白血病やリンパ腫は、血液脳関門(BBB)を移行できる薬剤が限られていることもあり、予後不良である。BBBは、GLUT-1を介してvitaminC(VC)をCNS内に取り込み、高濃度に保持する機構が備わっている。申請者は高濃度のVCが、過酸化水素の発生とNF-κB制御による腫瘍選択的なapoptosis誘導と増殖制御効果を発揮すること、さらに、これらのVCの血液腫瘍に対する効果は、周囲の鉄を減じると増強することを確認した。本研究ではNF-κBが病態に関与している難治性腫瘍のCNS病変に対し、脳内を低鉄環境にした後のH-VC投与が低侵襲の治療戦略になるか検討する。
中枢神経系(CNS)に浸潤した悪性リンパ腫に対し、高濃度ビタミンC(VitC)が新たな治療戦略になり得るか検討した。まず、in vitroにおいて、腫瘍細胞周囲の鉄濃度が高いとVitCの抗腫瘍効果が抑制されてしまう一方で、低鉄濃度環境ではVitCの効果が増強されることを確認した。In vivoでは、脳内の鉄濃度を下げるため、低鉄飼料をマウスに与え、さらに鉄キレート剤を投与してVitCの効果が最大限に発揮される条件を検討した。その結果、マウス脳内へ悪性リンパ腫細胞を移植したCNS浸潤モデルにおいて、低鉄条件下でのVitCがCNS浸潤悪性リンパ腫の増殖を効果的に抑制できる可能性が示唆された。
中枢神経系(CNS)へ浸潤した白血病やリンパ腫は、血液脳関門を移行できる薬剤が限られていることもあり、予後不良である。今回の研究結果からは、難治性血液悪性腫瘍のCNS病変に対し、脳内を低鉄環境にしたうえでのVitC投与が、将来的に低侵襲性の新たな治療戦略になりうる可能性が示された。
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