研究課題/領域番号 |
19K07911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹下 ひかり 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (10791577)
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研究分担者 |
山本 浩一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00528424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 認知フレイル / アルツハイマー型認知症 / 骨格筋機能低下 / アルツハイマー病 / 身体的フレイル / MCI |
研究開始時の研究の概要 |
身体的フレイルと軽度認知機能障害(MCI)の合併した状態である認知フレイル(CF)の詳細な機序について現時点で明らかでない。ADはMCIの最大の原因疾患であることも念頭に、①CFに関連するMCI、すなわち筋力低下と関連するMCIの原因はADか? ②ADの病因が筋力低下を惹起する機序は何か? ③CFの疾患感受性に性差があるか?という学術的「問い」を導き、2つの計画を立案した。 計画1は髄液検査によりADの有無を診断したMCI患者を対象に、その骨格筋機能変化と病型、性差の関連についての臨床的検討で、計画2は二種のADモデルマウスを用いたAD病態が骨格筋機能に及ぼす影響についての基礎的検討である。
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研究実績の概要 |
身体的フレイルを有する高齢者が軽度認知機能障害(MCI)を発症しやすいことから、両者を合併する病態が認知フレイル(Cognitive frailty, CF)として提唱されている。 CFへの介入により、高齢者のQOL維持・回復が期待できるが、CFの病態を引き起こす機序について未だ詳細は明らかでない。本研究課題では、CFの病態解明を目的に、認知症の最大の原因疾患がアルツハイマー病(AD)であること、そしてADが脳脊髄液バイオマーカーから確定診断可能であることから、ADによるMCI(MCI due to AD)に注目する。本検討は次の二つの研究計画により構成される。①MCI患者の骨格筋機能について病型や性差の関連の検討 ②ADモデルマウスを用いたAD病態が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明。 2023年度も前年度に引き続き各項目について次の研究内容を遂行した。①当診療科の物忘れ検査入院では、詳細な認知機能の評価に加え、脳脊髄液を採取し神経病理学的にADの診断を行っている。検査入院患者に行っている筋力検査の結果から、MCIと診断された患者の筋力データを抽出し、骨格筋機能と原因疾患(ADもしくは他の疾患)や性差の関連について検討を行っている。②ADモデルマウスであるAPP23マウスと、その同腹仔の野生型マウス(コントロールとする)の骨格筋の表現型を比較することにより、AD病態が骨格筋に及ぼす影響を評価している。現時点で、筋力測定において、認知機能障害を発症しない若齢のAPP23マウスでコントロールに比べて筋力が弱いこと、また筋横断面積等の評価において筋萎縮を認めた。さらには、骨格筋組織の遺伝子発現解析において筋組織の構成に関わる分子の遺伝子発現がAPP23マウスにおいて低値であることを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
各項目の進捗状況は以下の通りである。 ①MCI患者を対象とした骨格筋機能評価と病型や性差の関連についての検討:本計画については順調に進んでいる。 ②ADモデルマウスを用いたAD病態が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明: APP23マウスと同腹仔の野生型マウスの骨格筋表現型の比較を行い、骨格筋障害に寄与する候補分子についての検討を予定していたが、一昨年より自然交配で予定数の産仔が得られなかったこと、さらに、使用している大阪大学動物実験施設の改装(コロナ流行により遅延)で交配が中断したことにより実験が遅延していた。現在は繁殖状況が安定し、動物実験施設の改装作業も終了したため、計画に従って実験を進めている現状である。
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今後の研究の推進方策 |
各実験計画について、今後の研究推進方策は以下の通りである。 ①MCI患者を対象とした骨格筋機能評価:対象となる患者についてMCI患者の病型・性別ごとの筋力データの評価を行う。その後、患者の血液を用いて②と合わせて認知症病態と骨格筋機能障害に共通する病態形成に関わる分子を探索する。 ②ADモデルマウスを用いたAD病態が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明:昨年度、骨格筋の遺伝子発現解析で、APP23マウスにおいてはコントロールに比べて、骨格筋構成分子(ここではAとする)の遺伝子発現が減弱しているとの結果を得た。次年度は分子Aに着目し、分子Aのタンパクレベルでの解析等を進めていく。また、AD病態が分子Aの発現に影響を与える機序について明らかにする目的で、APP23マウスの骨格筋組織中のAβの測定( ELISA,免疫染色) などを実施する。
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