研究課題
基盤研究(C)
本研究が目標とする最終成果物は、POEMS(クロウ-深瀬)症候群における至適治療戦略の構築である。これまでの新規治療(自家移植、サリドマイド療法等)のデータの蓄積、新たな治療選択肢の出現から、2003年に立案された現行の治療戦略は正に今進化すべき時を迎えている。本研究期間内に3つの臨床研究を遂行し、治療戦略の更新に必要なクリニカルクエスチョンを解決する。研究代表者がreviewerを務めるCochrane Database Systematic Review(Treatment for POEMS syndrome)の次回更新時に本研究で遂行した臨床研究成果を反映できるよう、稀少疾患であっても可能な限り質の高い臨床研究を実施するよう努める。
POEMS(クロウ・深瀬)症候群は、ニューロパチーを中核に、胸・腹水、内分泌異常、皮膚変化、浮腫などの特異な組み合わせの症候を呈する重篤な全身性疾患である。病態にはまだ不明の点が多いが、モノクローナルな形質細胞増殖と血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰産生が病態の中心であると考えられている。適切に治療されない場合、四肢麻痺と多臓器不全により、機能・生命予後は著しく不良である。近年、形質細胞の異常が病態の基盤であると言う仮説に基づき、骨髄腫の治療が新規治療として応用されるようになった。新規治療の推進により予後は改善しつつある。2015年に実施した全国調査によると、10年生存率は9割を超える。そしてその背景にあるのは複数の骨髄腫治療である。しかし、それらの治療法の優先順位やリスク・ベネフィットバランスは必ずしも明確になっていない。本研究の目的はPOEMS症候群の至適治療戦略の構築である。現在解決すべき課題は、①サリドマイド抵抗例における治療選択肢の探索、②新規の各骨髄腫治療薬の本症候群における有効性と安全性の検討、③自家移植の適応基準の作成である。これまでサリドマイド抵抗例におけるレナリドミドの有効性についての論文を公表した。現在、自家移植の適応基準についての論文を国際誌に投稿中である。また、その他の新規治療として、ダラツズマブ、イキサゾミブ、ボルテゾミブなどの有効性と安全性について探索中である。本研究により、最適な治療戦略や治療選択の判断基準となるエビデンスを継続的に創出する。
4: 遅れている
令和3年度は他の研究機関と兼任し、令和4年度はPOEMS症候群以外の疾患を対象とした3つの多施設共同研究の立ち上げと遂行に大幅なエフォートを割き、本研究に十分なエフォート割けなかったため。コロナ禍で患者の来院に支障があり、データの収集に当初の予定よりも時間を要しているため。
多施設共同研究の運営が一段落し、コロナ禍も終了しつつある。今年度中に本研究を終了する見込みである。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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