研究課題/領域番号 |
19K08024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
野本 宗孝 横浜市立大学, 横浜市立大学医学部, 講師 (80457861)
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研究分担者 |
五嶋 良郎 横浜市立大学, 医学研究科, 特任教授 (00153750)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | CRMP2 / リン酸化CRMP2 / 統合失調症 / バイオマーカー / MACSテクノロジー / リン酸化CRMP / 軸索ガイダンス分子 / CRMP |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、統合失調症患者と健常群のリンパ球におけるCRMP(Collapsin response mediator protein)発現量を測定し、CRMPが統合失調症のバイオマーカーとなり得るかどうかを明らかにする。 1)MACSテクノロジー(磁気ビーズによる末梢血からのリンパ球分離法)を利用してヒトリ ンパ球検体を用いたCRMP測定方法を確立する。リン酸化CRMPについても同様に測定方法 を確立する。 2)統合失調症患者群と健常者群の血液検体について、上記測定系を用いてCRMP発現量を測 定し両群の統計学的な相違を明らかにする。また患者群の臨床背景の違いにおける相違も検討する。
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研究実績の概要 |
統合失調症は約100人に一人が罹患する精神疾患であるが、いまだ有用な生物学的バイオマーカーが存在していない。我々は軸索ガイダンス分子(タンパク質)のひとつであるCRMP2がその役割を果たすのではないかという仮説のもと、研究を進めている。 これまでの研究結果から、CRMP2の総量とリン酸化CRMP2の比率が統合失調症の病勢と関連している可能性を見いだしている。ヒト白血球中のCRMP2とリン酸化CRMP2について測定できる系を開発したが、現在はそれをさらに簡便に使えるようにして、数多くの検体を解析することを目指している。 具体的にはMACSテクノロジー(磁気ビーズによる末梢血からのリンパ球分離法)を利用してヒトリンパ球検体を用いたCRMP測定方法を確立する。またリン酸化CRMPについても同様に測定方法を確立する。その上でヒト検体を用いて疾患群と健常群との違いを統計学的に解析していく。また患者群の臨床背景の違いにおける相違も検討する。 本年度はMACSテクノロジーを用いた測定法の開発に時間を割いている。リンパ球の収量が採血からの時間に依存する面があるため、患者検体の取り扱いにおいてより詳細な計画性が求められることが分かった。なお、このコロナ禍において患者との接触が図りにくくなっていることは、研究の進捗に少なからぬ影響を及ぼしている。 将来的には、CRMP2に統合失調症のバイオマーカーとしての有用性が見い出せた場合、臨床応用を想定してELISAを用いた診断キットなどのツール開発を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MACSテクノロジーを用いた測定系の開発を行なっているが、血液検体からどれぐらいのリンパ球が収集できるかが、測定精度に関係することが見えてきている。 その際BDバキュテイナ採血管という採血管を用いているが、その特徴として採血から時間が経つとリンパ球の収量が極端に下がってしまうことがある。特に患者検体では病院から研究室まで運搬する必要があるため、採血計画を綿密に立てる必要があることが分かった。 ただこのコロナ禍において、研究目的の採血が非常にやりづらくなっている。計画通りに採血が可能かどうかは病院都合に左右されることが多い。 ただMACSテクノロジーを利用しない系では健常群と疾患群で差が見えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMACSテクノロジーによるリンパ球収集の効率を上げるための条件をさらに精査し、現実的な落としどころとの調整をはかっていく。特に採血管の特徴として採血からリンパ球収集までの時間が短いほど収量が多いという点が認められているため、特に患者検体採取においてどのような計画を立てるかが重要である。 コロナ禍に至り、病院での研究活動が否応にも制限される現状であるため、まずは健常検体を中心に測定系の精度を上げることを優先課題として取り組んでいく。 MACSテクノロジーによらない、従来型の測定法も併行していく。
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