研究課題
基盤研究(C)
薬物治療中かつ抑うつ状態にある気分障害(双極性障害及び大うつ病性障害)患者において、血清中グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)濃度が健常者よりも低下していることを報告した。この知見に基づいた本研究の目的は、①治療抵抗性気分障害における血清中GDNFのバイオマーカーとしての可能性を、縦断的観察研究により探索すること、②GDNFを治療抵抗性気分障害の新規治療ターゲットとして捉え、GDNF発現増強作用を有する既存薬の効果を自主臨床試験により探索することである。本研究により、治療抵抗性気分障害の病態解明と新規治療薬開発への応用が期待される。
1)気分障害(双極性障害、大うつ病性障害)のバイオマーカー開発を目標とする研究を実施した。既存の気分障害患者および健常者の血液サンプルを用いて、プロテオミクス解析により候補タンパクを同定した。血小板由来増殖因子(PDGF-BB)が双極性障害と大うつ病性障害の鑑別バイオマーカーの候補となることを見出した。治療抵抗性を含む双極性障害患者の縦断的血液サンプルを収集したため、今後、PDGF-BBおよびグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)を探索していく。2)新型コロナウイスルス感染症パンデミックに対する不安や抑うつ気分、感染防御行動に関する国際アンケート調査を実施し、感染制御に寄与する情報を得た。
わが国の気分障害患者は127万人いるとされており、新型コロナウイルス感染症の大流行による社会経済状況の変化により自殺者も増えている。そのため双極性障害やうつ病を早期に正確に診断する検査方法や新たな治療薬の開発が必要とされている。本研究では、患者の血液中のタンパク質である血小板由来増殖因子が双極性障害とうつ病とを鑑別することに有用である可能性を見出した。また新型コロナウイルス感染症に対する不安やうつ気分と感染予防行動との関連をアンケートにより調査して、今後の感染症対策に役立つ情報を提供した。
すべて 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
J Psychiatr Res
巻: 134 ページ: 48-56
10.1016/j.jpsychires.2020.12.051
Psychiatry Research
巻: 296 ページ: 113674-113674
10.1016/j.psychres.2020.113674
Psychiatric Res
巻: 301 ページ: 113967-113967
10.1016/j.psychres.2021.113967
Annals of General Psychiatry
巻: 20 号: 1 ページ: 13-13
10.1186/s12991-021-00334-6
Brain, Behavior, & Immunity - Health
巻: 6 ページ: 100101-100101
10.1016/j.bbih.2020.100101