研究課題/領域番号 |
19K08161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
堀 正明 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (40334867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 脊髄 / MRI / 定量分析 / 軸索 / 髄鞘 / 微細構造変化 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な脳脊髄疾患により、四肢の運動感覚機能障害が起こりうるが、適切なリハビリテーションにより、その機能は回復しうる。ただし、脳や脊髄の神経軸索の損傷は通常不可逆的と言われており、通常の機能訓練では再生はしない。 申請者は、MRIで非侵襲的に、生体で観察可能な脊髄の微細構造(髄鞘や軸索)に着目し、その変化が重要な役割を果たしている新たな可能性を確認した。そこで本研究では、脳脊髄疾患による障害の回復過程における脊髄の微細構造変化の解明を目的に、MRIによる包括的な評価を実施する。 本研究で得られた成果はすぐに臨床に反映されうるもので、正しい病態理解、さらに再生医療を含む治療法決定に寄与するものである。
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研究実績の概要 |
以前より引き続き、脊髄脊椎のMRI撮像手法におけるより効率的なシーケンスの選択、撮像条件の調整、新たなモデルに基づくより高度かつ最新の画像解析法の検討、および得られた定量値の検討を正常ボランティアでの行った。本研究に関連する、過去の知見から、脊髄の軸索の定量的評価を目的とした撮像方法の選択として、周囲磁化率の変化が局所的に強い解剖学的条件下における脊髄のMRIデータ収集における特殊性から、撮像方法の選択は重要である。脳等で臨床的にも広く使用されているsingle-shot EPI法による評価ではなく、過去にも用いたSimultaneous Multi-Slice Readout Segmentation of Long Variable Echo-trains(RESOLVE)や局所励起技術を用いて、撮像条件の確認や妥当性の検討を引き続き行った。さらに、髄鞘の評価方法として、磁化率移動を用いた手法を主としているが、MRIにおける定量的緩和係数測定など、他の撮像手法も考慮し、撮像条件の最適化およびテスト撮像、解析を行った。また、画像の撮像後処理は脳科学で用いられているような手法を基本とし、最新の知見をもとに一部改変を行った。 また、前年同様正常および疾患群のMRIデータより、脊髄の軸索および髄鞘の定量的変化を異なる解析手法により検討したが、想定よりデータ収集が遅延した。 さらに当初より導入されている、脊髄MRI画像の客観的な解析手法の、Spinal cord toolboxを用いて、脊髄におけるMRI画像の定量値に関して解析を行い、その検討過程における技術的検討の結果の一部を、海外学会(国際磁気共鳴医学会)にて発表した。また、本ソフトウェアの開発者であるカナダ・モントリオール工科大学のJulien先生と、脊髄MRIの技術的問題点や今後の研究に関してオンラインで協議を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
引き続き、MRIを用いた脊髄における拡散MRIでの複数の軸索や、髄鞘における定量化評価が可能となってきており、その撮像手法や撮像における各種パラメーター、および解析手法の選択や解析における条件の至適化等、正常値における妥当性の検討が行われた。また、新たに脊髄神経の賦活化の測定が可能となりfunctional MRIや、神経線維における微量金属の沈着や、ミエリン成分の多寡を測定可能なQSM(定量的磁化率マッピング)を臨床的に妥当な時間での撮像の可能性も検討された。ただし、脊髄という部位の特殊性および世界的にもみても同様の研究目的の結果の報告が僅少あるいは皆無であるという状況のもとに、いわゆる標準的な到達点の設定がしがたく、同様の神経組織である脳MRIの過去の研究結果を参考にして、類推しているのが現状である。いずれの検討にも想定より若干時間がかかり、かつ安定した十分な画質が確立されたとは言い難い状況である。 従って、解析手法の妥当性に関しては、若干ではあるが前年より進展があると思われるが、実際の再現性や、現状でも特に臨床応用において、評価可能なレベルでの安定した解析目的に適する良好なデータの質とは言い難く、その定量値の不均一性の改善は依然として課題で残る。 また、脊髄の疾患群におけるデータ収集に関しては、COVID-19の影響が後を引き、事前に予想した疾患群において本研究のMRI撮像へのエントリーが不足、遅延しているのが現状である。従って、本来の研究目的を見据えた、研究目標への到達には、さらに引き続きデータ収集を加速させる必要があるのは、前年度同様といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の遂行については、前年度同様、まず脊椎脊髄における定量解析を目的としてMRIデータの収集を、健常ボランティアおよび疾患群にて引き続き推進する方針である。脊髄脊椎MRIの部位の特殊性に起因すると思われる画質の不安定性による定量解析への影響を考慮し、COVID19の影響がようやく改善しつつある現状での様々なアクセスの制限の緩和などを要素として考慮すると、研究計画当初に想定した主たる対象疾患群(主に血管障害、脳腫瘍、脱髄性疾患等)のみのデータ取集、解析だけを考慮した場合、さらんる研究の遂行の進展の遅延がきたされると予想され、変性疾患なども、具体的には筋萎縮性側索硬化症や変形性脊椎症に伴う神経障害なども研究対象として考慮すべきであると予想される。 また、MRIの撮像手法および、データの解析を行うための数的な理論や解析のための技術は、修正、更新され、新たに提唱、報告されている。したがって、研究計画当初に想定された撮像手法や解析手法のみの検討、再現では十分な研究とはいえず、さらに、新たな複数の方法論や技術的な革新の提案、特に人工知能、AI関連のされなる使用の考慮を鑑みたうえでの、より効率的かつ効果的な撮像および解析手法の検討や選択が、重要であるといえる。 本研究における最も重要な点は、研究的撮像の確立のみではなく、臨床において、広く普及しているMRI撮像では評価が難しい、脊髄脊椎病変内の組織における微細な構造変化の観察および定量化、さらに視覚的に視認可能なマッピング、臨床症状や予後予想等との相関を示す事である。したがって、特に疾患群におけるMRI画像データの取集および解析を継続して遂行する。さらに、横断的なMRIデータ取集のみならず、縦断的なデータ収集および、そこから導き出される予後予測を可能とするために重要であると考えられる。これらの実現のための体制の再構築を目指す。
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