研究課題/領域番号 |
19K08164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
川野 光子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命・医学部門, 主幹研究員 (90422203)
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研究分担者 |
中山 文明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, グループリーダー (50277323)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 放射線障害 / 放射線防護 / 線維芽細胞増殖因子 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでに、ヒトの放射線障害の病態を効率的に再現するマウスモデルを構築し、放射線照射前後の組織の状態を詳細に解析すると同時に、放射線障害の防護に関与することが予想されるFGFメンバーの探索を行ってきた。この解析により、放射線障害として高頻度に観察される放射線毛包障害および放射線腸管障害においてFGF18および変異型FGF1がその防護において重要であることを見出した。本研究提案では、具体的にFGF18および変異型FGF1が放射線から毛包および腸管をどのように防護するのかその作用機序を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
放射線によるがん治療の現場において、放射線治療をこれまで以上にパワフルで安全性の高いがん治療法に昇華させるためには、放射線障害に対する予防・治療法の開発が必須である。本研究では、放射線障害の病態を再現する動物モデルと、防護効果を有する分子として繊維芽細胞増殖因子(FGF)を用い、放射線障害に対する安全性の高い新たな予防・治療薬開発を見据えた基盤研究の展開を目的とする。 FGFがその機能を発揮するためには、標的細胞上のFGF受容体に結合する際、ヘパリンとの三者複合体を形成する必要がある。複数のFGFが創傷治癒や放射線照射による腸管障害の治療に使用されており、ヘパリンと共に投与される。しかしながら、外因性のヘパリンには強い血液抗凝固作用があるため、臨床での使用は制限されていることから、血液抗凝固作用を持たず、FGFとその受容体と三者複合体を形成してFGFの機能を発揮できる分子が必要とされている。ヒアルロン酸(HA)はヘパリンと似た構造を持つ糖鎖であり、硫酸化することでFGF2と相互作用することが知られている。前年度までに硫酸化HAを化学的に合成し、高硫酸化HAが出血の危険性が極めて低い糖鎖であり、FGFに対するヘパリンの機能の代替物としての可能性を示した。R4年度は、in vitroにおいてFGF1による細胞増殖活性への影響を検討した結果、高硫酸化HAがヘパリンと同程度の細胞増殖活性を示すことが明らかとなった。また、ガンマ線照射による腸管障害マウスモデルを用い、硫酸化HAの抗アポトーシス活性を検討した結果、照射24時間前の硫酸化HA投与によりアポトーシス減少し、更にFGF1との共投与によりさらに抗アポトーシス活性を示した。 今後は、放射線による腸管障害に対する硫酸化HAの防護能および硫酸化レベルの違いによる影響について追及し、硫酸化HAの放射線防護剤としての有用性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度より研究企画業務が主務となり、研究実施が困難であった。 2021年度より、研究実施体制を強化することで、遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について、研究分担者を加えるとともに業務補助員を雇用することで研究実施体制を強化した。 引き続き、本体制にて研究を実施し、加えて、外部委託や研究用キット、データベース等を利活用し、できる限りスピーディに研究を実施し、遅れを取り戻すべく、時間的にも研究費的にも無駄のない研究推進を行う。
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