研究課題/領域番号 |
19K08206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
中神 佳宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80347301)
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研究分担者 |
楫 靖 獨協医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10273947)
加納 大輔 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 薬剤師 (70392347)
原 孝光 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 教授 (70464542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | iPS細胞 / 再生医療技術 / 核医学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん細胞に特異的に集まる性質を持つヒト臍帯血由来の特殊なT細胞「HOZOT細胞」について報告があった。HOZOT細胞は、cell-in-cell 現象(細胞侵入現象)によって、がん細胞内に特異的に侵入するという。そして我々はHOZOT細胞を放射性同位元素でラベリングする手法について開発した。そして、放射性同位体標識HOZOT細胞が標識操作後もcell-in-cell活性が失われていないことを確認した。本研究では、このHOZOT細胞の利用を容易にするため、HOZOT細胞をiPS細胞で作成することにより、新たながんの診断法や治療法の開発を目指すこととする。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の影響が続き、本年度も昨年度の研究から殆ど進まなかった。よって、実績としては昨年度の段階に留まっている。以下にその概略について述べる。 がん細胞に特異的に集まる性質を持つヒト臍帯血由来の特殊なT細胞「HOZOT細胞」について報告があった。HOZOT細胞は、cell-in-cell現象(細胞侵入現象)によって、がん細胞内に特異的に侵入するという。本研究では、このHOZOT細胞の利用を容易にするため、HOZOT細胞をiPS細胞で作成することにより、新たながんの診断法や治療法の開発を目指した。 生体内の代謝亢進をイメージングすることにより悪性腫瘍を診断する試みは以前からなされており、今では一部臨床応用されているが、依然として克服すべき課題も多い。新たな腫瘍イメージング技術の開発は現在重要な研究テーマとなっている。本研究では、放射性同位体標識HOZOT細胞がヌードマウスなどの担癌動物のがんに対し、がん特異的に集積し腫瘍イメージングとしての可能性があるか、動物用マイクロSPECT-CTやマイクロPET-CTにより撮像し検証することとする。 これらの研究成果を臨床応用するためには、HOZOT細胞の利用を容易にすることが重要である。そこで、HOZOT細胞をiPS細胞で作成することにより、これらの診断法や治療法の汎用性を高めることとする。 研究が遅れていることもあり、当研究室だけでは当初の目的を果たすことが出来ないため、他の施設から研究の助言を得ているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
残念ながら昨年度と殆ど進捗状況が変わっていない。即ち、iPS細胞からHOZOT細胞の作成を試むものの思うようなiPS細胞の樹立には至らなかった。他社製品に切り替え、実験プロトコールの抜本的な見直しを検討しているところであるが、コロナ禍のため専門家から適切な助言を得ることが出来ず、見直しについては上手くいっていないのが現状である。 HOZOT細胞に対する放射性同位元素による標識法における標識率の向上についても試みた。我々は、既にHOZOT細胞を111Inや99mTc、62Cu、64Cuで標識する方法を開発し、既にこれらの核種で標識後も、HOZOT細胞のcell-in-cell活性が失われていないことが確認しているところ、62Cu や64Cuは一般に市販されておらず核種の入手が困難であった。今年度は昨年度同様、依然として新型コロナの蔓延のため、他県への往来制限があり、他県の研究者の協力が得られず、これらの特殊な核種の入手が全く不可能となった。今後、新型コロナの終息が期待されるところ、各関連機関との連携等を復活して、これら特殊な核種の入手を可能にするよう努力したい。 本年度は昨年度同様、新型コロナの蔓延のため前記のように他施設との共同研究が滞ってしまったのみならず、本学でも研究制約が生じてしまい、研究の大幅な遅れを来している。新型コロナが終息しつつあるので研究環境を整えるようなお一層努力したい。
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今後の研究の推進方策 |
まず、早急に研究体制を再整備し研究の遅れを取り戻したい。iPS細胞の誘導法について、プロトコールの見直しを検討し、安定的なiPS細胞の樹立法の確立をする必要がある。使用している細胞や試薬の変更を考慮したり、再生医療や血液内科の専門家の意見を参考にしたりする必要があるだろう。 また、今の所手付かずになっている、放射性同位元素標識HOZOT細胞による腫瘍イメージングを試みる。即ち、標識HOZOT細胞がヌードマウスなどの担癌動物のがんに対しがん特異的に集積し腫瘍イメージングのツールとしての有用性があるか、動物用SPECT装置や動物用PET装置により撮像し検証する。これには本学にはない特殊なカメラを必要とするが、動物用SPECT装置は国立がん研究センター東病院での使用が許可され、動物用PET装置については国立がん研究センター東病院や横浜市立大学医学部での使用が許可されたため、新型コロナが終息しつつあるので、これらの機関と協力して研究遂行のスピードを上げていきたいと思う。 更に、iPS細胞由来放射性同位元素標識HOZOT細胞による抗腫瘍効果を検証する。即ち、β線放出核種である64Cuによって標識されたHOZOT細胞を、担癌ヌードマウスに投与し、がんに対する治療効果について検討する。前述のように64Cuは中々入手が困難であるが、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所等の64Cuの製造可能な施設の協力を仰ぎ、新たながんの治療薬の開発を進めたい。
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