研究課題/領域番号 |
19K08214
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
矢島 浩彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所, 主幹技術員 (30261895)
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研究分担者 |
中島 菜花子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命・医学部門量子医科学研究所, 研究員 (50402863)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | がん治療 / 放射線 / 重粒子線 / DNA損傷応答 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 膵癌 / 放射線応答 / がん抑制遺伝子 / DNA損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
重粒子線によるガン治療は、正常組織への副作用が少ない治療法として知られているが、さらに放射線治療では治療が困難な放射線抵抗性ガンにおいても治療効果が高いことが分かってきた。例えば、膵癌は難治性ガンであるが、重粒子線は膵癌治療において高い治療成績を上げている。ガンの放射線抵抗性は細胞増殖と細胞死をコントロールする遺伝子CDKN2Aに変異が入ることによって獲得される。膵癌では90%以上がCDKN2Aに変異を有する。本研究では、CDKN2A変異ガンに重粒子線が細胞死をおこすメカニズムをDNA損傷応答解析により明らかにし、放射線抵抗性ガン治療に対する重粒子線の優位性を証明する。
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研究成果の概要 |
CDKN2Aは膵癌では90%以上、乳癌では30~40%が変異を有するがん抑制遺伝子であり、放射線抵抗性の原因遺伝子でもある。本研究では、CDKN2A変異がん細胞(MCF7)に対する重粒子線の生物効果と、細胞死誘導機構への影響を解析した。MCF7は、X線およびガンマ線照射に対して耐性があるが、重粒子線は複雑なDNA損傷を発生させることにより、DNA損傷応答シグナルATRを高度に活性化し、p53の安定な高発現を維持、p21の発現上昇を促進することで、アポトーシスおよびに細胞老化を誘導することを明らかにした。 これらの結果から、CDKN2A変異がんに対する重粒子線の優位性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん治療は個別化治療が進んでいる。放射線治療にも個別の遺伝子変異に応じた照射条件を適応する治療が望まれている。CDKN2Aの変異率が特に高い膵癌は5年生存率が10%未満のアンメッドメディカルニーズの高い腫瘍であるが、重粒子線治療は治療後5年生存率が50%程度と良好な治療成績が収められている。本研究により、CDKN2A変異がんに対する重粒子線の優位性が示され、CDKN2A変異が多い、膵癌への重粒子線適応を後押しし、さらに膵癌に対して効果の高い量子メス開発・化学療法免疫療法との併用療法開発の基盤となると期待している。
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