研究課題/領域番号 |
19K08278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
津下 充 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (80625004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳血管内皮細胞 / インフルエンザ脳症 / 脳浮腫 / 自然免疫 / サイトカイン / タイトジャンクション / 腫瘍壊死因子-α / 炎症性サイトカイン / HMGB-1 / 血管透過性 / マクロファージ / IL-6 / VEカドヘリン / ストレスファイバー / COX-2 / 血管内皮細胞 / 末梢血単核球 |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザ脳症は小児に多く発症し、けいれんや意識障害を認め、時に脳浮腫や後遺症を残す病気である。近年、自然炎症メディエータの一つであるhigh mobility group box 1(HMGB-1)が後遺症を認めた患者の血液中で増加していることや、インフルエンザ脳症をモデルとした動物実験でHMGB-1の効果を抑える抗体を投与すると、脳の血管のバリア機能が障害が軽減することが明らかとなった。HMGB-1に対する抗体がどのようにしてインフルエンザ脳症の病態を改善するのかを明らかにするために、ヒトの脳の血管内皮細胞や動物モデル、インフルエンザ脳症に罹患した児の血液細胞を用いて検討する。
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研究成果の概要 |
腫瘍壊死因子(TNF-α)によるヒト脳血管内皮細胞の透過性亢進をHigh mobility group box-1(HMGB-1)モノクローナル抗体が抑制しうるか検討した。TNF-α刺激後に脳血管内皮透過性は亢進し、細胞の紡錘状変形、細胞間間隙の増加、F-アクチン形成の増加、タイトジャンクション分子であるVEカドヘリン蛋白量の減少を認めた。抗HMGB-1抗体の存在下で有意に血管透過性亢進は抑制され、細胞間間隙の増加とVEカドヘリン蛋白の減少は抑制された。また、TNF-α刺激によって増加した上清中の炎症性サイトカインであるIL-6やIP-10濃度は、抗HMGB-1抗体の存在下で有意に抑制された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インフルエンザ脳症における脳浮腫・脳血管透過性亢進のメカニズムと自然免疫分子であるHMGB-1分子の関与について検討した。HMGB-1分子を中和するモノクローナル抗体によって、サイトカインによる脳血管内皮細胞の血管透過性亢進や細胞形態の変化、細胞間にあるタイトジャンクション分子と呼ばれる蛋白の減少を抑制することを明らかにした。インフルエンザ脳症の新規治療として抗HMGB-1モノクローナル抗体の有効性を説明しうる研究成果を得た。
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