研究課題
基盤研究(C)
サポシンはリソソームでのスフィンゴ脂質の分解に必須のタンパク質で、その異常は小児期発症の神経型リソソーム病を引き起こす。神経型リソソーム病の1つであるゴーシェ病の責任遺伝子グルコセレブロシダーゼ(GBA)の遺伝子変異はパーキンソン病の最大の遺伝的リスクである。本研究では、サポシンおよびその前駆体であるプロサポシンに着目し、神経型リソソーム病とパーキンソン病に共通する新たな神経病態メカニズムの解明に取り組む。
プロサポシン(PSAP)は、リソソームにおいてスフィンゴ脂質を分解する際に、加水分解酵素と共に必要な疎水性の糖タンパク質-サポシン(SAPs)-A、B、C、D-の前駆体タンパク質である。PSAPのSAP-D領域のヘテロ接合性の遺伝子変異が常染色体顕性遺伝性の家族性パーキンソン病家系に報告されている。我々は、Sap-D 変異マウス黒質の比較プロテオミクス解析を行い、Sap-D変異マウス黒質において、PSAPがオリゴマー化して著増し、ドパミンニューロン内にPSAP特異抗体に免疫陽性の封入体として認められることを見出した。オリゴマー化したPSAPの蓄積が神経細胞毒性を持つ可能性がある。
PSAPの蓄積は、神経型リソソーム病である神経セロイドリポフスチン症や、前頭側頭葉変性症でも指摘されており、神経細胞内にオリゴマー化して異常蓄積したPSAPが、神経細胞毒性を持ち、神経変性疾患を惹起する可能性がある。本研究の成果は、Rare diseaseである神経型リソソーム病と、Common diseaseであるパーキンソン病やアルツハイマー病に共通する新たな神経病態仮説-プロサポシノパチー(prosaposinopathy)-の提唱につながるものである。
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