研究課題
基盤研究(C)
神経疾患におけるグリア細胞の重要性が認識され、ミクログリアを標的とした神経疾患の治療が現実味を帯びてきている。そこでミクログリアが疾患にもたらす影響を知るために、小児神経疾患マウスモデルの脳からミクログリアを除去して影響を調べるという研究を計画した。ジフテリア毒素受容体遺伝子を導入したノックインマウスを用いて、ミクログリアを一過性かつ選択的に死滅させることができる。このマウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎やけいれん重積を誘導し、疾患の様々な病相でミクログリアを除去して影響を観察する。さらに病態修飾の分子機構を解析し、脱髄性疾患とてんかんの病態におけるミクログリアの役割を解明する。
組織特異的にジフテリア毒素受容体を発現させるためのノックイン(DTR-KI)マウスを用いて、ジフテリア毒素(DT)の投与によりミクログリアまたはアストロサイトを選択的に除去することを試みた。In vitroではDT投与によりミクログリアが選択的に死滅したが、CX3CR1-CreERT2・GFAP-CreマウスとDTR-KIマウスを交配してDTを投与しても目的の変化は得られず、何らかの理由によりグリア細胞に目的の遺伝子組換えが起こっていないと考えられた。並行して実験的自己免疫性脳脊髄炎、pilocarpineによるけいれん重積モデルを用いて検証を行った。
ジフテリア毒素受容体を用いるTRECK法ではDT投与後1-2日という極めて短時間で標的細胞を除去することができる。病相特異的なグリア細胞の役割を明らかにするためには目的の時期に合わせて迅速かつ確実に除去する必要があるので、速効性というTRECK法の長所は大きな強みとなる。また組織特異的Creマウスを用いることで様々な組織の研究に幅広く応用が可能であり、疾患動物モデルと組み合わせることで特定の細胞が疾患において果たす役割を包括的に解析することができる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件)
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