研究課題/領域番号 |
19K08325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藺牟田 直子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00643470)
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研究分担者 |
児玉 祐一 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (20535695)
西 順一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40295241)
大岡 唯祐 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50363594)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ESBL産生菌 / CTX-M / K1莢膜遺伝子 / 下痢限性大腸菌 / 腸管凝集性大腸菌 / 髄膜炎 / 基質特異性拡張型βラクタマーゼ / ESBL / 小児下痢症患児由来大腸菌 / 下痢原性大腸菌 / 血液由来大腸菌 / K1大腸菌 / 薬剤耐性 / 系統解析 / ワクチン標的分子 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸菌のK1莢膜多糖体は乳児髄膜炎・敗血症の主要な病原因子だが、K1莢膜保有大腸菌(K1大腸菌)の分子疫学的解析は十分でない。われわれは小児腸管由来大腸菌で、K1大腸菌の基質拡張型βラクタマーゼやAmpC型βラクタマーゼ遺伝子獲得を見出し、薬剤耐性大腸菌による髄膜炎・敗血症のリスクが高まっている。近年抗菌薬療法が困難となる中、妊婦の移行抗体による乳児K1大腸菌感染症を予防するワクチン開発が期待されるが、K1莢膜多糖体は免疫原性がなくワクチン標的分子にならない。本研究では、便・血液・髄液由来のK1大腸菌株の分子疫学解析、系統解析、病原性を検討しK1莢膜以外のワクチン標的分子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
小児腸管由来大腸菌9,525株(2001~19年)から基質特異性拡張型β-ラクタマーゼCTX-M遺伝子保有株355株を検出した。K1莢膜遺伝子保有大腸菌43株中14株(33%)が髄膜炎原因菌に多いO1/O18であった。38株(88%)が系統群B2に属し、他の系統群では腸管凝集性大腸菌の病原遺伝子保有株がみられた。CTX-Mハイブリッド型の出現やST131大腸菌clade解析でcladeの移行が明らかになった。本研究で明らかになったCTX-M遺伝子保有K1大腸菌の推移と多様性は、K1大腸菌に対するワクチン標的分子探索の基盤となり小児腸管内での病原・薬剤耐性遺伝子の活発な伝播を示唆するものである
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ESBL CTX-M遺伝子保有K1莢膜遺伝子保有大腸菌は、増加傾向にあることが示唆された。またCTX-M保有株の中に、髄膜炎の原因菌に多い血清型O1/O18の株や下痢原性大腸菌の一つであり凝集付着と強固なバイオフィルム形成を特徴とする腸管凝集性大腸菌の病原遺伝子保有株が検出され、薬剤耐性遺伝子と病原遺伝子を併せ持つ株は治療が困難になることが予想されるため注意が必要である。また、CTX-M hybrid type株がみられたことから、小児の腸管内で病原遺伝子と薬剤耐性遺伝子の活発な伝播がおこっていることが示唆された。このため適正な抗菌薬治療と継続的な耐性菌サーベイランスが必要であると考えられた。
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