研究課題/領域番号 |
19K08332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
河原 幸江 久留米大学, 医学部, 准教授 (10279135)
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研究分担者 |
河原 博 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10186124)
大西 克典 久留米大学, 医学部, 助教 (10626865)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | グレリン / ドーパミン / レット症候群 / 前頭皮質 / D1受容体 / MECP2 / 前頭前野 / マイクロダイアリシス / 認知 / 線条体 / ドーパミン受容体 / モデルマウス / 行動試験 / マイクロダイアイリス |
研究開始時の研究の概要 |
レット症候群は、MECP2遺伝子の変異により運動機能障害や情動障害などを呈する疾患で有効な治療法がない。運動機能障害や情動障害は脳内ドーパミン神経の障害でもみられるため、本症候群でも脳内ドーパミン神経の障害が予想される。しかし、レット症候群の病態は、ドーパミン神経を含めほとんど不明である。 最近,代謝調節ホルモンであるグレリンがレット症候群患者の運動機能を改善することが報告された。そこで本研究はモデルマウスを用いて、ドーパミン神経の病態への関与と、グレリンがドーパミン神経作用を介して治療効果を発揮するのかを調べる。そして、グレリンの神経作用機序に基づく、より有効な薬物治療開発の可能性を見出す。
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研究成果の概要 |
グレリンはレット症候群モデルマウスの症状を治療できるのかを評価し、その治療作用の機序を調べた。 グレリンの全身投与は、モデルマウスの寿命や振戦などの症状に影響しなかったが、認知機能の改善作用をもつことが示唆された。そこで、モデルマウスにおいて、認知機能に重要な前頭前野のドーパミン神経活動を調べたところ、ドーパミン受容体シグナルを介してドーパミン神経活動が抑制され、外部刺激に対するドーパミン神経の応答性が減弱していることがわかった。グレリンはこのドーパミン受容体シグナルを介するドーパミン神経活動抑制を弱めることで、ドーパミン神経応答性を回復させる作用があることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、成長ホルモンの一つであるグレリンがレット症候群モデルマウスに治療効果をもつのかを検討した。 その結果、グレリンは、レット症候群モデルマウスにみられる短い寿命や運動障害には有効でなかったが、物体に対する認知機能障害を改善する作用がみられた。このグレリンの認知機能改善作用は、前頭前野のD1受容体シグナルを介するドーパミン神経活動の調節機構を改善する作用によるものであることが示唆された。 したがって、グレリンはレット症候群の全身状態を改善する作用はないが、認知機能改善薬として有効である可能性が示唆された。
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