研究課題/領域番号 |
19K08371
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 (2021) 高知大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
藤本 穣 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (00379190)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | バイオマーカー / サイトカイン / 炎症性腸疾患 / マーカー / LRG |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らのシーズであるLRGは、IBD初の血清活動性バイオマーカーとして昨年製造販売承認を取得した。最近、病変部位のOSMがTNF阻害剤抵抗性IBDの指標になると報告された。LRGにはOncostatin M(OSM)などIL-6以外の刺激でも発現誘導される特徴がある。本研究では、LRGの発現制御機構を解明すべく、OSMを含むIBD関連サイトカイン等にLRG産生細胞(肝細胞、腸上皮細胞、白血球等)が応答するか否かを検討する。LRG がIBD病態のサイトカイン環境をどう反映するのかを理解し、新たに蓄積する患者血清LRGデータと共に検討することで、治療予測等、実臨床での新たなLRG活用法を見出す。
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研究成果の概要 |
我々の実用化研究シーズLRGは、CRPにかわる炎症性腸疾患(IBD)の活動性マーカーとして期待される。本研究ではIBD病態におけるLRGの発現調節機序を調べた。急性期応答を担う肝細胞と病変部のLRG産生細胞(腸上皮細胞、単球系細胞、好中球)の細胞株では、炎症性サイトカイン下流の転写因子STAT3とNFκBの両者がLRG産生誘導に重要であることを見出した。一方、好中球系細胞株では、分化・成熟課程でサイトカイン非依存的LRG発現が生じると考えられた。次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析では、NFκBに代表される免疫シグナルがヒトIBD組織で亢進し病変部のLRG産生を促すと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、サイトカイン下流の転写因子の中で炎症形成に特に重要なSTAT3とNFκBが、肝細胞や病変部位の細胞でLRG発現を直接制御すること、それとは別の機序が好中球のLRG産生を促すことを明らかにした。一方、既存マーカーCRPは、IL-6が肝細胞にてSTAT3を活性化するという単一的機序で発現が誘導される。以上から、CRPよりもさらに幅広い病態でLRGが上昇すること、自然免疫系シグナルの亢進がみられるIBD粘膜の病態は、CRPよりもLRGによく反映されること、が強く示唆され、IBD診療におけるLRG測定の優位性とその理論的根拠が示された。
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