研究課題/領域番号 |
19K08474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
渡邉 俊雄 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50336773)
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研究分担者 |
灘谷 祐二 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
大谷 恒史 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
谷川 徹也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (70423879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | NSAIDs / 小腸傷害 / 好中球細胞外トラップ / シトルリン化ヒストン / 好中球 / サイトカイン / 消化管傷害 / NSAID |
研究開始時の研究の概要 |
好中球は様々な刺激に応じて、核酸 DNA 、ヒストン、抗菌性タンパクなどからなる網目状構造物である好中球細胞外トラップ(NETs)を放出する。NETsは感染防御機構である一方、炎症性疾患や自己免疫疾患など様々な疾患に関与している可能性が示唆されている。本研究はNSAIDs起因性小腸傷害におけるNETsの役割について、①NSAIDs起因性小腸傷害におけるNETs形成の有無、②NETsが傷害および炎症に対して促進的または抑制的に働くか、③NETs関連因子と傷害重症度の相関性、④NETs誘導作用を有する自己抗体の発現が傷害のリスク因子であるか否かを解明する。
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研究実績の概要 |
これまでの検討において、マウスをもちいた研究で、インドメタシン起因性小腸傷害は好中球依存的であること、蛍光2重免疫染色法を用いて本傷害において好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)が形成されていることを確認した。ヒトNSAIDs起因性小腸傷害サンプルを用いて、蛍光免疫二重染色を行い、NETsが好中球の酵素であるMPOと共発現することを示し、ヒトNSAIDs起因性小腸傷害においてもNETsが関与していることを明らかにした。加えて、マウスをもちいて、NETsは抗シトルリン化ヒストンH3 (Cit-H3)を含む細胞外DNA成分として同定されるため、抗Cit-H3抗体を用いたWestern Blottingを行ったところ、6時間をピークにCitH3の発現亢進と、PAD4の発現亢進を認め、結果としてNETsの発現が亢進していることが判明した。 NETsのNSAIDs起因性小腸傷害に対する働きをさらに明らかにするために、PAD4阻害薬であるCl-amidineおよびStreptonigrinを投与しNETs抑制することにより、本傷害がCl-amidine投与群で27%、streptonigrin投与群で52%軽減することを確認した。これらの結果より本傷害においてNETs形成が傷害促進的の働いている可能性が示唆された。また、PAD4 KOマウスに対してNSAIDS起因性小腸傷害を作成したところ、肉眼的にも分子生物学的にもNSAIDs起因性小腸傷害の改善をみとめ、PAD4を介した経路でNETsがNSAIDs起因性小腸傷害の悪化因子であることがさらにあきらかになった。 本年度はこれらの結果を再検証し、統計的な解析を行うとともに、抗生剤投与により腸内細菌の影響を排除した場合に、NETs形成がどのような影響を受けるかを明らかにした。抗生剤投与マウスにおいては、NSAIDs起因性小腸傷害の形成が軽減されるとともに、NETs形成も軽減されていた。このことより、小腸NSAIDs起因性傷害においてはNETsの形成に腸内細菌が大きな役割を果たしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、一旦予定としている範囲までの論文化は完了した。また、本年度は研究成果の学会発表をする予定となっている。また、今回の研究で得られた成果を元に、NSAIDs起因性小腸傷害の機序を明らかにするための、追加研究を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の論文化を完了したため、本年は今回の研究成果の学会報告を行う予定としている。学会発表を通じて他の研究者との議論を深めつつ、次の研究につなげるための追加研究を行う予定としている。
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