研究課題
基盤研究(C)
先天的な異常により血管の障害を発症する患者からiPS細胞を樹立し、そのiPS細胞から、申請者らの研究室で一貫して研究を続けてきた血管細胞分化誘導技術を用いて血管細胞を分化誘導し、その機能や遺伝子異常を研究することで、各種疾患の血管病態を試験管内で再現し、そこから新規治療法開発に繋がる知見を得る。すでに申請者らは多発性嚢胞腎およびもやもや病患者由来iPS細胞を用いた血管細胞分化研究でそれぞれの病態理解に繋がる成果を挙げており、そのノウハウを用いて家族歴のある高安病、および遺伝性に脳血管障害を来たすCADASIL患者から樹立したiPS細胞などの血管細胞分化および解析を行う。
動脈硬化に代表される血管病態に関して、その分子メカニズムの全貌は未だに不明と考えられる。本研究では先天的な異常により血管の障害を発症する患者からiPS細胞を樹立し、そのiPS細胞から血管構成細胞を分化誘導し、その機能や遺伝子発現の異常を研究することで、各種疾患の血管病態のin vitroでの再現・解明を目的とした。本研究では家族歴のある高安病、CADASILから樹立したiPS細胞等の血管細胞分化および解析を行った。結果、CADASIL-iPS由来血管壁細胞を用いて、疾患で見られるGOMといった病態が再現でき、コントロール壁細胞との比較で増殖能他が異なることも判明した。
ヒトiPS細胞からの血管構成細胞の分化誘導法に関してはこれまでに我々の研究室以外からも複数の報告があるが、我々の誘導法は簡便で再現性も高く、また血管内皮細胞のみならず、血管壁細胞も誘導できるというメリットを持つ。この誘導法を用いて本研究ではCADASILと高安病という遺伝的素因が病態に関連している血管関連疾患に罹患した患者様から樹立したiPS細胞を用いて、血管細胞誘導および試験管内病態再現を目指して研究した。結果CADASIL-iPSを用いた研究につき、病態解明に繋がる病態再現に成功し、これを発表した。これら血管関連疾患の新規治療法に繋がる知見が得られることが期待できる成果である。
すべて 2022 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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