研究課題
基盤研究(C)
遺伝性心臓疾患は、遺伝性不整脈症候群(IPAS)と心筋症とに大きく二分され、若年期から重篤な臨床像を呈する疾患である。我々のグループは2000年代よりカテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)に対するリアノジン受容体遺伝子(RYR2)変異の検索をおこなってきたが、近年次世代シーケンサーを用いた解析を開始して以来、その他のIPASや心筋症においてもRYR2遺伝子変異が多数同定されるようになった。我々は本研究を通し、RYR2遺伝子変異と遺伝性心臓疾患の関連を明らかにし、心筋症と不整脈両方の治療に貢献することを目的とする。
当施設に集積している遺伝性心臓疾患のコホートにおいて、遺伝性心臓疾患が疑われつつ原因遺伝子が同定できていない患者680名を抽出し、RYR2遺伝子変異を検索した結果、138名に変異を同定した。これらの患者の臨床像と心電図的特徴を解析した結果、86名のカテコラミン誘発多型性心室頻拍(CPVT)・27名のQT延長症候群(LQTS)・8名の特発性心室細動(IVF)に分類された。このうち86%が有症状であり、有症状の52%は致死的不整脈を呈していた。また、これらの表現型の違いは、機能解析にて機能取得型と機能喪失型に分かれ、リアノジン受容体蛋白上の変異アミノ酸の位置する箇所と関連していると考えられた。
リアノジン受容体は巨大蛋白であるため、心臓機能において重要な役割を果たすにもかかわらず遺伝子解析が煩雑なものであった。本研究ではRYR2遺伝子の大規模な解析により、本遺伝子異常がもたらす臨床像は致死的不整脈を含む重篤なものが多く、早期診断と初期からの治療介入の重要性を示すものであった。また、バリアントの部位や蛋白機能変化により臨床像が異なることを明らかにしたことで、バリアントから患者の表現型や不整脈リスクを予測することができ、治療や安全管理の上で非常に役立つと考えられる。
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