研究実績の概要 |
研究計画4年目の研究に関しては、睡眠時無呼吸症候群外来に受診した例の診療を進めながら,採血データ,臨床データの蓄積を行った.研究期間は特に世界規模でCOVID-19が流行拡大し,受診控えによる精査ができなかった例の蓄積を行うことができた.その中で,睡眠呼吸障害を呈していると想定される症例の血液検体を用いて動脈硬化疾患に関連した自己抗体の同定・解析研究を進めた.これまで同定したCOPE抗体(Matsumura T, Terada J, et al, 2017 J Clin Sleep Med),抗NBL抗体(Matsumura T, Terada J, et al 2018 PlosOne)に続いて、本研究計画の中で追加報告した自己抗体-抗SNX-16(Sorting nexin 16:Katumata Y, Terada J, et al 2020 Diagnostics)抗体についても解析を進めた. 具体的には,これまで自己抗体-抗SNX抗体を測定評価した睡眠時無呼吸症候群患者200名に対して,それぞれの抗体値が高い例が心血管イベント発生を生じているかについてひきつづき調査し,診断検査時の血清で抗体価高値が判明している患者の外来診察及びカルテ,電話で確認を行い,以後の追跡を行った.重大な動脈硬化性疾患を発症していたのは昨年と変わらず6例であり(脳梗塞2名,心筋梗塞2名,腹部大動脈解離1名,下肢動脈閉塞1名),追加のイベント発症は確認されなかった.現時点では,当初の仮説と異なり,睡眠時無呼吸症候群診断検査時の血清で評価した抗SNX16抗体値と動脈硬化性疾患発症に相関はみられていない.引き続き経過f/uが必要と考えられた.
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