研究実績の概要 |
研究最終年度はこれまでの喀痰上清中のNeurturin濃度と喘息患者の臨床的特徴、喘息のフェノタイプ、誘発喀痰中の炎症細胞との関連、炎症性サイトカインや細胞外マトリックスとの関連を総合的に解析した。 計64名の成人喘息患者についての検討した。臨床的な検討では誘発喀痰中のNeurturin濃度は、アトピー型喘息で有意に高濃度であったが、喘息重症度(軽症/中等症/重症)、ACT(Asthma Control Test)質問票 による喘息コントロール状態、閉塞性換気障害の有無、前年1年間の喘息増悪とは明らかな関連を認めなかった。また、同濃度は呼気一酸化窒素濃度と有意な正の相関(r=0.364, p=0.003)を認めたが、呼吸機能(1秒量)とは関連を認めなかった。誘発喀痰中の好酸球比率と有意な正の相関(r=0.348, p=0.005)、好中球比率と有意な負の相関(-0.458, p<0.001)を認めており、炎症細胞の比率で分類した炎症フェノタイプではEosinophilic typeがMixed granulocytic typeよりも有意に高濃度であった。誘発喀痰中の分子的検討では、誘発喀痰中のNeurturin濃度はIL-5濃度 (r=0.315, p=0.037)とIL-13濃度(r=0.374, p=0.007)と有意な正の相関、MMP-9濃度(r=-0.478, p=0.009)と有意な負の相関を認めた。 本研究成果を論文化し米国医学雑誌に公表した(Sato S, Suzuki Y, Kikuchi M, et al. Sputum Neurturin Levels in Adult Asthmatic Subjects. Journal of Asthma and Allergy. 2023; 16: 889-901.)。
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