研究課題/領域番号 |
19K08614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
神尾 孝一郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20465305)
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研究分担者 |
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 教授 (10184194)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 特発性肺線維症 / Macrophage polarization / 制御性T細胞 / MMP-13 / 制御性T細胞 / macrophage polarization |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自家細胞を用いて肺線維症モデルマウスの肺線維化の改善効果を検討し、治療応用へ展開するための研究基盤確立を目的とするものであり、対象とする疾患は呼吸器難病の一つである特発性肺線維症である。 これまでの検討で制御性T細胞がブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウスの肺線維化を改善させる事を報告した。この線維化改善メカニズムとマイクロRNAでの制御機構を解明する。また予備的な検討で、マウスより採取した骨髄細胞をサイトカインと培養すると特定のマクロファージが誘導され、同細胞の養子移入による肺線維化の改善が確認された。同細胞の性格の詳細な解析を行い、抗線維化メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
一昨年度までに、骨髄細胞の抗線維化作用が確認されており、骨髄細胞をIL-4あるいはIL-4+TGF-beta1で培養し、ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウスに投与すると肺線維化が有意に抑制されることが確認された。 本細胞のphenotypeをRT-PCRを用いて検討したところ、この細胞はF4/80をマクロファージと同程度に発現していることが確認された。さらにこれらの細胞では、CD86は低下していたが、CD206、Ym-1、Arginase-IといったM2マクロファージのマーカーが増加しており、IL-4ならびにIL-4+TGF-beta 1で分化させた細胞は、M2-like マクロファージである事が示唆された。 これらの細胞を養子移入した後の細胞の分布を調べるために、GFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞をIL-4などで分化させ養子移入し、肺内での分布を確認することを試みたが、養子移入後14日目にsacrificeした肺内では(ブレオマイシン投与後からは28日目)、GFP陽性細胞は確認することができなかった。 またこれらの細胞から分泌される可能性のあるMMP-9を免疫染色などで確認を試みたが、MMP-9陽性細胞の存在は確認できなかった。 われわれの教室では、これまで制御性T細胞(regulatory T cells; Tregs)による抗線維化作用を報告しているが、腎臓の線維化病態では、M2マクロファージによるTregの誘導を介した病態の改善効果が報告されている。このため骨髄細胞をIL-4と共培養しM2-likeマクロファージを作成し、脾臓より抽出したCD4陽性リンパ球と共培養した。しかしながら期待されるようなTregsへの分化誘導は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年夏季の新型コロナウイルス感染症の第7波では当科職員にも少なからぬ感染者が発生し、その度に研究の中断を余儀なくされました。特にマウスを用いた1~2か月を1クールとした実験になりますので、その影響は甚大でした。病床の逼迫などもあり、呼吸器内科医としての業務負担が増加したこととも併せて、研究の進捗が遅延した要因と考えられます。
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今後の研究の推進方策 |
われわれが同定したM2-likeマクロファージの網羅的な遺伝子発現解析で、本細胞が有する抗線維化作用との関連が予想される蛋白が同定されました。今後はこの分子との関連を明らかにしていく予定です。
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