研究課題
基盤研究(C)
上葉優位型肺線維症Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)は、進行性の慢性呼吸器疾患であり、有効な治療法は確立されていない。本研究では、肺移植症例を含む多施設共同研究によってPPFEの臨床像を解明するとともに、網羅的な遺伝子解析、疾患特異的なiPS細胞による遺伝的背景の機能解析、オミックス解析を通じて、バイオマーカーや治療標的を探索する。
(1)肺移植患者で画像的なPPFEを認めた59例のうち、28例に病理学的なPPFEが見られ、気腔内の線維化や肺胞壁の弾性繊維増生で区別された。(2)PPFEとUIPの肺組織の遺伝子発現を比較すると、PPFE群ではADAMTS4、IL-6、selectin E、EGR3など106の遺伝子の発現が亢進していた。(3)造血幹細胞移植後の晩期性肺障害患者の肺移植待機予後は、他の間質性肺疾患と同等であり、非間質性肺疾患よりも不良だった。(4)サルコイドーシスにおいて、経時的な呼吸機能の悪化は予後不良因子だった。心臓超音波検査での心室中隔菲薄化が長期的な左室機能低下と関連した。
(1)画像的なPPFEと病理学的なPPFEを照合し、今後の診断基準の作成の基礎データとなりうる結果を明らかにした。(2)PPFEに特徴的な発現亢進を示す遺伝子を同定し、バイオマーカーや治療標的の可能性を示した。(3)肺移植待機患者群において、造血幹細胞移植後の晩期性肺障害患者の予後を明らかにした。(4)サルコイドーシスにおいて、呼吸機能の経時的な評価や心臓超音波検査の臨床的な意義を示した。
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