研究課題/領域番号 |
19K08653
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
金地 伸拓 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60403789)
|
研究分担者 |
中村 貴史 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432911)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 肺癌 / 免疫療法 / 腫瘍溶解性ウイルス / ウイルス療法 / ワクシニアウイルス / MET阻害薬 / テポチニブ / MET阻害 |
研究開始時の研究の概要 |
進行肺癌に対する治療は、抗癌剤に分子標的薬や免疫療法が加わり、格段に進歩したが、まだ十分ではなく、さらなる治療方法の開発が望まれている。研究代表者は、これまでにc-METという分子の阻害薬が分子標的治療として肺癌に効果があることを報告した。c-METの阻害は免疫活性化作用も持つ。 近年、癌に対する新たな治療方法として、ウイルスを用いるウイルス療法が注目されている。ウイルス療法は、癌細胞を直接殺すのみならず、免疫療法としても作用することが示されている。 本研究では、MET阻害薬とワクシニアウイルス療法を併用することにより、分子標的治療と免疫療法を併せ持つ強力かつ合理的な肺癌治療の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
腫瘍溶解性ワクシニアウイルスMDRVV003およびMET阻害薬tepotinibをヒト肺癌細胞株およびマウス肺腺癌細胞株に加えると細胞死が誘導された。両者併用は単剤よりもその効果が高かった。またB6マウスでの皮下腫瘍モデルにおいても、両者併用は単剤よりも高い抗腫瘍効果を認め、さらにMDRVV003の投与部位から離れた腫瘍も縮小した。腫瘍の免疫染色では両者併用においてCD4およびCD8陽性細胞の浸潤が認められた。MDRVV003非投与腫瘤の縮小効果の機序としてMDRVV003増殖による直接的な細胞死以外に免疫原性細胞死があり、MET阻害は直接および免疫応答により細胞死を増強したと考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺癌治療の進歩により進行肺癌患者の生存期間延長が認められているがまだ十分ではない。新たな治療法や免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める方法の開発が望まれている。 癌に対するウイルス療法は遺伝子改変により腫瘍選択性と腫瘍殺傷性を高めた腫瘍溶解性ウイルスを用いた治療法である。MET阻害薬は肺癌細胞上のMETに結合し癌細胞の増殖を抑制する。本研究では、腫瘍溶解性ウイルスMDRVV003とMET阻害薬tepotinibはそれぞれの直接作用のみではなく、免疫賦活作用をもたらし、抗腫瘍効果を発揮することが示された。これらの併用はまさに新規治療かつ免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める方法である。
|