研究課題
基盤研究(C)
本研究では、1.継時的な誘発喀痰採取を行い、喘息患者を持続性好酸球優位型、持続性非好酸球優位型、混合型の3群に分類する.2.呼気および喀痰・血清硫化水素(H2S)濃度測定に加えて呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定も同時に測定を行い、上記3群間におけるこれらバイオマーカーの違いを検証する.3.対象患者に対して経時的に上記バイオマーカー(FeNO、呼気・喀痰・血清H2S濃度)に加え、呼吸機能、自覚症状を3年間モニタリングすることで、喘息フェノタイプごとに難治化予測(経年的呼吸機能低下、リモデリング)、コントロール不良状態(自覚症状の変化)、喘息発作(発作頻度)が予測できるか否かを検証する.
2022年度も新型コロナウィルスのパンデミックが持続しており、呼気ガス分析や呼吸機能検査に対しての制約があったこと、呼気硫化水素濃度(FeH2S)測定器の度重なるセンサー障害も重なり研究遂行に支障をきたしている.2022年5月までに登録した喘息患者86名および健常者11名に対して、ベースラインの解析を行ったところ、喘息患者におけるFeH2S濃度は健常者と比べて有意に高値であり、特に好中球優位型、混合型喘息患者で有意に高値を示した.また、FeH2S濃度は、喀痰好中球割合と有意な正の相関を、喀痰好酸球割合とは有意な負の相関を示した.更に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)とFeH2S濃度と喘息患者背景の特徴についても検討したところ、経口ステロイド薬(OCS)投与の有無については、OCS投与必要群はOCS投与必要なし群と比べてFeNOが有意に高値であったのに対し、FeH2Sは両群間で有意差を認めなかった.一方、登録前1年間の増悪に関しては、増悪あり群の方が増悪なし群に比べてFeH2Sが有意に高値であったが、FeNOは両群間で差を認めなかった.更に、喘息コントロールの有無についても検討したところ、コントロール不良群では良好群に比べて有意なFeH2Sの上昇を認めたが、FeNOに関しては両群間で差を認めなかった.以上の結果から、FeH2Sは喘息コントロール状態の把握や増悪予測の指標として利用できる可能性が示唆された.この結果を踏まえ、ベースラインFeH2S測定から1年間(2023年6月まで)における喘息コントロール状況や増悪頻度についてのデータを集積することでFeH2Sの喘息管理指標としての有用性を前向きに検証している.
4: 遅れている
本研究は、現在4年目である.新型コロナウィルスのパンデミックの持続による検査制限に、呼気硫化水素濃度(FeH2S)測定器の度重なるセンサー障害も重なり研究遂行に支障をきたし、研究の大幅な遅れが生じている.これまで97名(喘息患者86名、健常者11名)に対してFeH2S濃度を測定することができた.当初の予定よりは少ないが、FeH2S濃度が測定できた喘息患者に対して、引き続き喘息コントロール状況や増悪頻度を前向きにフォローアップしていく予定である.
上述のごとく、これまでFeH2S濃度が測定できた喘息患者86名を1年間(2023年6月まで)前向きに喘息コントロール状態や増悪頻度についてフォローアップする.2023年7月からデータ集積およびデータ解析を行い、FeH2S濃度が喘息管理の新規指標として有用か否かについて検証し、論文化を目指す.
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