研究課題/領域番号 |
19K08682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
森 潔 静岡県立大学, 薬学部, 特任教授 (60343232)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 急性腎障害 / バイオマーカー / NGAL / リポカリン / 鉄 / 褐色脂肪 / 脱水 / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
急性腎障害(acute kidney injury, AKI)は透析導入や死亡に至る可能性を有するが、AKIに確実に有効な治療法は実在しない。尿中neutrophil gelatinase-associated lipocalinとliver-type fatty acid binding proteinがAKIの早期診断を可能とするバイオマーカーとして国内保険収載されているが、AKI早期診断後にどのように治療介入へ反映させるのかについては未だ十分な臨床研究が行われていない。本研究ではバイオマーカーによる腎障害介入の効果判定、及びバイオマーカーの発現調節と生物作用に関する多面的研究を推進する。
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研究成果の概要 |
急性腎障害のバイオマーカーであるneutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL) の血中濃度は、肥満において上昇する。エネルギー代謝におけるNGALの意義を明らかにすることを目的として、野生型およびNGAL欠損マウスに高脂肪食あるいは寒冷暴露負荷を行った。NGAL欠損マウスでは、エネルギー消費の亢進と褐色脂肪組織の肥大がより強く起こり、肥満と体温低下の抑制を招き、内因性NGALは交感神経系と熱産生を負に制御していた。さらに寒冷暴露後のNGAL欠損マウスでは体温の上昇を呈した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
以上の結果より、NGALは交感神経の制御によりエネルギー代謝を抑制的に働いていることが考えられる。さらに尿中NGALについて、脳外科手術後、突然発症した急性膵炎による乏尿性AKIにおいても、早期の尿中NGAL上昇は軽度で、腎実質性AKIを除外し大量輸液を行う判断に有用であった症例や、また免疫チェックポイント阻害薬を用いたがん治療を行った場合に、副作用として急性尿細管間質性腎炎が起こるこの病態において、尿中NGALが上昇し、ステロイド治療により低下した2症例について報告しており、臨床におけるNGALの意義を示唆している。
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