研究課題/領域番号 |
19K08690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
本田 一穂 昭和大学, 医学部, 教授 (10256505)
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研究分担者 |
康 徳東 昭和大学, 医学部, 講師 (00571952)
高木 孝士 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10774820)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血管内皮 / グリコキャリックス / 糖鎖 / シアル酸 / ゲムシタビン / 血栓性微小血管症 / レクチン / 低真空走査型電顕 / 内皮 / 血管傷害 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
血管内皮の表面はグリコキャリックス(glycocalyx: GCX)と呼ばれる糖タンパクの層で覆われている。GCXと疾患の関係については、これまで、糖尿病、敗血症、腎不全の病態で血管のGCXが減少することが報告されている。このことから、GCXは本来血管内皮面の環境を生理的に保持し、各種の病態において内皮傷害因子から内皮を保護しており、その破綻は細胞傷害や臓器傷害、臓器の機能不全に関連していると推察されている。本研究では,培養細胞や動物モデルを用いて、血管内皮GCX層の性状や形態、産生分解機序を明らかにし、血管内皮面のGCXを健全に保つもしくは強化する手法を確立することを目指している。
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研究実績の概要 |
本年度は,抗癌剤ゲムシタビンによる血管内皮傷害の機序について,内皮グリコキャリックスの末端シアル酸の減少が,内皮細胞間のカドヘリン結合性を低下させ,さらに内皮細胞からのIL-1betaやIL-6などの炎症性サイトカイン放出の増強を介して,内皮傷害をもたらすことを明らかにし,その論文をMedical Molecular Morphology誌で発表した(Gunji M, Honda K, et al. MMMo 2023).この結果は内皮細胞の恒常性維持には内皮グリコキャリックスが重要な役割を果たし,特に種々の膜結合蛋白の糖鎖末端のシアル酸がそのカギを担っていることを示しており,内皮傷害を防止するためには内皮グリコキャリックスの末端シアル酸を保護することが有用な治療戦略となる可能性を示している。内皮傷害とグリコキャリックスの糖鎖末端シアル酸との関連性の詳細について,更なる検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,血管内皮の機能における内皮グリコキャリックスの役割を明らかにして,血管内皮傷害を病態とする様々な疾患の予防や治療に役立てることである。その中で,培養内皮細胞を用いたin vitroの実験系でゲムシタビンによる内皮傷害モデルを作成し,内皮グリコキャリックスの可視化や末端シアル酸の検出の方法を確立することが出来た。動物実験モデルを用いた研究まで到達できなかったが,糖鎖末端のシアル酸の重要性を明らかに出来たことで,研究期間は延長されたがおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ゲムシタビンによる培養内皮細胞傷害モデルを用いて,内皮細胞の形態変化を電子顕微鏡レベルで解析を行う。特に注目する点として,カドヘリンが関与する接着帯の変化,糖鎖のシアル酸を行っているゴルジ体,細胞内輸送に関わるカベオラや小胞などの細胞小器官を透過電顕や走査電顕で観察する。また,内皮グリコキャリックスのシアル酸修飾に関わるシアル酸合成酵素やシアル酸分解酵素の発現や局在を免疫電子顕微鏡法で解析する。これらの知見は内皮傷害とグリコキャリックスの糖鎖末端シアル酸との関連性の詳細を明らかにし,内皮グリコキャリックスに着目した内皮保護戦略の開発に役立つと考える。
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